【百珍その➁】玉子百珍は意外にシンプル

テレビのクイズ?番組で、豆腐料理といえば何を思い浮かべるかのランキングという問題がありました。

 

1位が麻婆豆腐で、9位がゴーヤーチャンプルーだそうです。そういえば、ちょっと前に豆腐百珍について、このブログで紹介しました。☞ 2022/01/26 江戸時代に豆腐百珍はベストセラーだった そこで、今回は「玉子百珍」を調べてみました。

 

玉子百珍
玉子百珍

【再掲】江戸時代(1782年)に豆腐料理のレシピ本「豆腐百珍」が出版されて、大変人気を集めたのだそうです。その後、「鯛百珍」「玉子百珍」「大根百珍」「甘藷百珍」「蒟蒻百珍」など数多くの百珍ものが、江戸・大阪・京にある複数の出版元から刊行されたそうです。

 

さて、「玉子百珍」です。画像は、東北大学図書館所蔵の「萬寳料理秘密箱:一名玉子百珍(まんぽうりょうりひみつばこ)」です。

花洛(京都)の器土(かわらけ)堂堂主人が著して、大阪の岡田茂兵衛が1785(天明5)年に刊行しました。

 

古来より、日本では鶏は家禽として飼われていたのですが、玉子を食べる習慣はなかったそうです。鶏を飼うのは、主に闘鶏と時刻を告げるという目的だったのです。時を告げる鶏の卵を食べると、祟りがあると考えられていて奈良・平安の頃までは玉子を食べた人はいなかたようです。

安土桃山時代になると,ポルトガル人が鶏卵を使ったカステラなどの料理を持ち込んだもので、玉子を食べても祟られないとわかってきました。滋養があって美味しいということで、江戸時代に入ると、玉子料理が開発されていったということです。

 

玉子百珍にある料理を紹介します。

おかゆに玉子をときいれた「玉子かゆ」や「玉子ぞうすい」からはじまり、ゆで玉子を花型に入れて変形させた「花玉子」、抗菌作用のある白むくげの花と玉子を味噌汁のなかに散らした「薬玉子汁」、玉子と寒天を使った「冷やし玉子ようかん」、卵黄と白味噌を使った「玉子味噌和え」、餅の上に卵液をかけて蒸した「玉子餅」などがあります。もちろん「カステラ」も書いてありますが、意外に手の込んだ料理は少ないです。

 

江戸時代の玉子は高級品で、一般庶民にはなかなか手に入りにくい食材だったようです。玉子百珍で紹介されている料理がシンプルなのは、玉子があまり普及していなかったから、ということもあるのかも知れません。