トラックドライバーの2024年問題とは、特例として猶予されていたトラック運転手への時間外労働規制の適応です。
具体的には、年間時間外労働時間が上限960時間以内に規制されます。時間外労働の上限規制は2019年に法律が施工されたのですが、建設業とトラック運転手と医師には5年間猶予されていました。他業種は上限720時間なのでトラック運転手は少し緩めです。しかし、長距離トラック運転手の場合は手待ち時間があり時間外960時間超の人はかなりおりそうです。
ここでは、「労働時間=作業時間(運転や荷扱い時間)+手待ち時間」ということを再認識しなければなりません。
拘束時間の規制もあります。運転手の拘束時間は、連続する24時間内で上限13時間(特別な場合は16時間)となっています。さらに1か月の上限は293時間・1年間は3516時間と決まっています。
拘束時間中の休憩時間は4時間経過毎に30分以上、拘束時間終了後の休息時間は連続した8時間以上などのルールがあります。休憩時間と休息時間という言葉の違いに注意です。
そこで、長距離トラック運転手の休息という問題です。トラック運転手には車内の寝台で休息をとる人がかなりあります。トラックによっては、生活用品に家電製品なども備えている場合もあります。その場合に、トラックが休息する場所は、高速のSA・PA、道の駅、トラックステーション、ドライブイン、コンビニ・ドラッグストアなどです。
労働時間規制によって、休息時間をきちんととって車内宿泊するケースが増えることが予想されます。その際に、トラックがアイドリングを続けるとエネルギーを消費し、温室効果ガスを排出します。冷凍車など庫内を冷やすためにアイドリングが必要な場合もありますが、エアコンを動かすためだけにアイドリングをするケースも多いようです。
アイドリングでの燃料(軽油)消費は、中型トラックで1時間約1L、大型トラックで1時間約2Lです。8時間の休息時間では8~16Lになります。資源や環境問題としても由々しきことですが、軽油も高くなっているので150円/Lでは1200~2400円となり経済的にも大きな問題です。
そこで、トラックに外部から給電するスタンド施設ができています。ただ、あまり使いやすい場所ではないので、トラックターミナルのような形式でもっと普及することが期待されます。さらに、トラック運転手向けの簡易宿泊施設も増えてきています。トラックステーションの再整備も進めていきたいところです。
物流というと、宅配便などを思い浮かべますが、積み合わせでの物流は国内総量の3%くらいです。圧倒的に大きい大型トラックによる商業物流が日本経済を支えています。働き方改革と環境負荷の低減を両立していくことが必要です。
それにしても、日野自動車の排ガス・燃費不正問題は困ります。影響が長期化しそうです。
2022.8.1 日野自動車株式会社 特別調査委員会 調査報告書の概要