省エネ性能向上のジレンマ~使わないのが一番省エネ~

最も効果的な省エネは、エネルギーを消費する機械装置を使わないことです。

 

倉庫の照明を水銀灯からLED灯に代える場合、同じ照度(あかるさ)・同じ点灯時間であれば、電力量は1/4~1/10になります。大幅な省エネです。ところで、この倉庫では、水銀灯は点灯までに時間がかかるのでちょっと荷物を取るだけなら点灯することはなく、月末の棚卸のときぐらいしか点灯することがなかった、なんて場合は省エネ効果はほとんどありません。

 

倉庫のLED照明(本文とは関係ない)
倉庫のLED照明(本文とは関係ない)

ところが、LED照明はすぐに点灯しますし、電気代は安いということで、いつの間にか用が無くても点灯し続けるようになったなら、省エネではなく増エネになります。

 

今年は7月の中旬から、ヨーロッパの熱波についての報道がたくさんありました。

そのときにヨーロッパ(イギリスやフランス)のエアコン普及率がとても低い。家庭では5%くらいで、ホテルなどでもエアコンが設置されていない部屋があるなどが紹介されています。エアコン無しで、この暑さでは心配だ!なんて、お節介なことをいうコメンテーターさんも結構見ました。

 

確かにヨーロッパは暑いのですが、暑い期間が長続きはしません。イギリス・ロンドンで最高気温が40℃を超えて新記録をつくりましたが、せいぜい3日か4日続くだけです。しかも、一日の温度差が大きくて、日中の最高気温は高くても夜には涼しくなるのです。その日の最低気温は21℃でしたから、日本のような熱帯夜ということもありません。

 

そんなヨーロッパでも、エアコンの普及率が高まっています。これまでのエアコンは、電気代がかかるという印象があったのですが、省エネ技術が進歩していったことが、設置に踏みきることになった要因です。しかし、どんなに省エネ性能が高くても、使わない省エネに勝るものはありません。これが、省エネ技術のジレンマです。

 

ただ、2021年下半期からの電力価格の高騰が、2月以降のロシアのウクライナ侵攻で加速して定着しそうです。これで、ヨーロッパの様相が一変しました。省エネ効果を完全に無にするほどの、エネルギー価格高騰ですから、誰もが新しい機器の導入には慎重です。

困ったことですが、エネルギー価格高騰は地球温暖化防止につながります。

 

尚、日本では、いろいろな省エネ関連の補助金がありますが、大半は現在設置してある機器の更新が対象です。新設で使える補助金は少ないので、ご注意ください。