日本人は白人より暑さに強い。というのは本当か?

着物の日本女性が顔に汗をかかないのは、胸の高い位置に帯を締めるからだそうです。

 

実験してみると、男女を問わず帯を高い位置に締めると顔や頭に汗をかきにくくなり、代わって太ももなどが汗ばむそうです。逆に男性の着物のように腰の低い位置に帯を締めると、顔や頭に汗をかき、下半身は汗をかきにくいわけです。なんとなく、男女ともに都合がいいように、上手く考えられています。

 

猛暑・酷暑が続いています。人種によって、暑さへの強さが異なるのでしょうか?熱帯地方に住む人のほうが、寒冷な地域に住む人より、暑さに強いような気がします。逆に熱帯地方に住む人は寒さに弱いだろうと想像します。これは、本当でしょうか?

 

ベルクマンの法則
ベルクマンの法則

恒温動物で近縁種の場合には、ベルクマンの法則「寒冷な地域に生息するものほど体重が大きい」と、アレンの法則「寒冷な地域に生息するものほど付属器官が小さい」が成立します。

 

人間の場合は、熱帯に住む人も、寒帯に住む人も同じ種ですが、イヌイットを除くと、ベルクマンの法則は概ね当てはまります。熱帯の人のほうが小柄で背も低く、寒い地域に住む人のほうが大柄です。

アレンの法則は少しわかりにくいですが、例えば耳の大きさを比べると熱帯の人のほうが寒帯の人より相対的に大きくなっています。鼻はもっとわかりやすくて、熱帯の人の鼻は横に広がっていますが、寒帯の人は高いですがとても細くなっています。

 

いずれも体温を維持(寒いときは熱を逃がさない、暑いときは熱を溜めない)ために、そういう身体の特長を持ったということです。日本人は、温帯に住んでいるので、世界のなかでは中間的な身体特徴になっています。

 

さて、そうなると熱帯に住む人と寒帯に住む人では、身体的特徴から暑さへの耐性に違いがあって当然と思われます。いろいろな人が、実験をしており、概ねこの傾向は支持されているようです。しかし、広範囲におこなった実験では、結果がかなりバラついています。

これは、人種的な特徴を超えて、それぞれの固体の暑さへの馴化の違いの影響が大きいのが原因のようです。

 

つまり、寒帯の人でも暑い環境にいれば暑さに強くなり、熱帯の人でいかにも暑さに強そうでも涼しい環境にいれば暑さには弱くなるわけです。

この馴化の進み方にも人種の差があって、同じ条件(1日4時間×2週間とか)で暑さに馴化してもらって、耐性を測ってみます。すると、日本人は熱帯に人よりも寒帯の人よりも馴化の程度が優れていたそうです。まぁ、日本人というより温帯の人ですかね。

 

つまり、日本人と白人では、日本人の方が暑さに強いようです。しかし、人種的な要素より、その人が暑さに慣れているかという要素のほうが大きく、ずっと冷房の効いた部屋にいると暑さへの耐性は劣ります。一方で、日本人は暑さに慣れるのは早いという特長がありそうです。ちょっと嬉しいです。これは、寒冷の場合にも当てはまるようです。

 

猛暑対策としては、日中の最も暑いときに炎天下に出てはいけませんが、それほどでもないときに、予め暑さ慣れしておくことが大事なんですね。