最低賃金についての議論が続いていますが、明日(8月1日)に最終協議になるそうです。
報道によると、今年度の最低賃金は30円以上、過去最大の上げ幅で決着するようです。山口県の現行の最低賃金は857円ですから、887円以上になり900円が見えてきます。現行では、東京都と神奈川県しかない1000円以上に、大阪府(現行は992円)が加わりそうです。ちなみに、以下は埼玉県(956円)、愛知県(955円)です。
最低賃金の全国平均は930円です。しかし、都道府県の最低賃金が930円を上回るのは、先の5都府県に、千葉県と京都府を加えた7都府県だけです。残る41道県は全国平均を下回っています。
最低賃金は、可住地人口密度の高い都道府県ほど高くなる設定です。まぁ、労働力の需給バランスを考えれば当たり前のことです。
人口密度が高い方が雇用機会へのアクセスはよくなりますし、事業者側としてもよい人材を探しやすいわけです。
但し、最低賃金と同じく語られる、正規・非正規の問題があります。政治家は与野党ともに、非正規雇用が増えるのはけしからんという言い方をします。格差を是正するために、非正規から正規への雇用の転換を図れというわけです。そこで、事業者は正規雇用を増やすように努めています。
現在、正規雇用と非正規雇用の割合は、およそ10:6です。そこで、最低賃金ですが、大幅な引上げは非正規雇用を増やすことにつながるという一つのジレンマがあります。
最低賃金が上がると雇用されて働こうといういう人が増えますから、働いていない人やフリーランスの人が被雇用者になります。最低賃金が上がると、正規雇用と非正規雇用の処遇差が縮まりますから、いろいろな制約がある正規雇用を辞めて非正規雇用に移る人が増えます。
もう一つのジレンマが、最低賃金を引上げると消失する雇用機会もあるということです。地方では、混雑しない小売店の店番とか、農産品の仕分けとか、あまりストレスを感じずにできる仕事(但し、給料が安い)があります。子供や孫を職場に連れてきて、面倒見ながら働いているなんて例もかなりあります。こういう仕事が無くなると、結構困る人も多いのです。
個人的には(あるいは、田舎の中小企業診断士としては)最低賃金の大幅な引上げは、好ましくないと感じています。さて、どう決まるのでしょうか?