NHK教育テレビ(今は、Eテレ)で「昔話法廷」という番組が密かに?人気です。
オリジナルは2015年から2018年に掛けて、毎年2作品ずつが公開されています。今年も、再放送がされているようで、偶然に見かけました。番組の内容は、「もし、昔話の主人公たちが訴えられたら…?」との設定で、法廷で検察官と弁護士の主張を聞いて、裁判員が頭を悩ませるというものです。
さて、第8話が「さるかに合戦」です。番組では、猿がカニに硬い青柿を執拗に投げつけ死亡させた事件となっています。罪を認める猿に、検察官は死刑を求刑します。弁護人は、猿が改悛している点などを主張し、「生きて償うべきだ」と訴えます。さて、裁判員はサルの情状をどのように判断するのでしょうか?というものです。
しかし、「さるかに合戦」には、たいてい続きがあります。
母カニを殺された子カニが、栗と臼と蜂と牛糞を仲間にして敵討ちを計画します。猿の留守に家に忍び込んで、栗は囲炉裏の中に隠れ、蜂は水桶の中に隠れ、牛糞は土間に隠れ、臼は屋根に隠れます。
帰宅した猿が囲炉裏で身体を暖めようとすると、熱々に焼けた栗が体当たりをして猿は火傷を負い、急いで水で冷やそうと水桶に近づくと今度は蜂に刺され、驚いて家から逃げようとしたら牛の糞に滑り転び。最後に屋根から落ちてきた臼に潰されて猿は死にます。めでたしめでたし。子カニは見事に親カニの敵を討ちました。
この続きで、カニを裁く法廷の様子を書いたのが、芥川龍之介の「猿蟹合戦」という超短編です。全文が青空文庫に載っていますのでリンクしておきます。3分あれば読めます。
☞ インターネットの図書館、青空文庫 「猿蟹合戦」 芥川龍之介
マスコミや専門家のウソに易々と騙されないためには、こういうものに触れておくことは大事ですね。私たちもたいてい蟹なんですから・・