ウクライナのゼレンスキー大統領は、元俳優・コメディアンです。
大統領選挙を題材にした「国民のしもべ」というコメディ映画に主演して好評を博し、その人気で実際に大統領に就任しました。選挙を題材にした映画は、日本にも世界にもたくさんあります。ドキュメンタリー映画も多いのですが、選挙という題材は、シリアスなものより、ドタバタコメディーでこそ面白味がありそうです。
突然ですが、【英辞郎web】wag the dog(ワグ・ザ・ドッグ):本末転倒な事をする。、重要なことを重要でないことにすり替える、さまつな理由から大きな決定を左右する
tail wagging the dog:《the ~》主客の転倒、本末転倒◆犬よりしっぽの方が頭がよくて、「犬がしっぽを振る」のではなく「しっぽが犬を振る」、つまり、主客が転倒した状況ということから由来する。
『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』は、1997年のアメリカのコメディ映画です。
ダスティン・ホフマンとロバート・デニーロが主演して、興行収入6400万ドルの中くらいのヒット作でした。(この年最大のヒット作は、レオナルド・デカプリオ主演の『タイタニック』興行収入は6億ドル超えです。)
大統領選挙を控えた大統領が、自らのスキャンダルから国民の目をそらすことを、凄腕揉み消し屋(デニーロ)に依頼します。揉み消し屋は、敏腕プロデューサー(ホフマン)と組んで、フェイクニュースを流し、まんまと国民を欺きます。しかし、実は大統領の方も揉み消し屋の思惑に・・・というお話です。
参議院議員選挙が公示されました。7時のNHKニュースで各党の党首とのインタビューが放送されていました。嘘(誤りかな?)もあり、嘘ではないかも知れないが誤解を招くような表現もありました。もちろん、NHKからの反論はなく、そのまま放送されます。まぁ、それでも電波に乗っている情報は、注意をしていれば、それなりに判断できます。
各党首が言っているように、政治の本質は確かに国民が築いた「富の分配」です。そして、誰しも自らあるいは自らの属するグループにより多くの分配を求めます。これは、自然な感情であり、非難することはできません。もっとも、富を築いた側への配慮というか、リスペクトが感じられなくなっているのは、いただけませんが・・。
非難はしませんが、それでも、自分により多くの分配をしてくれ!(つまり、他のものへの分配を減らせ!)と声高に主張するのは、倫理的には許されません。なお、「成長と分配」だから、成長した分を自分に分配してもらっても、他の人が得るはずのもの奪ったことにならないというのは詭弁です。
さて、近年の選挙においては、SNSでの情報発信が盛んにおこなわれるようになっています。SNSで発信されている情報は、注意深く分析して判断をしなければなりません。無防備に受け入れると危険です。そもそもSNSは、閉じられた仲間内で使われるメディアですから、意図するか否かは別として、内外を分断するものです。
あらゆる人が均等に視聴できる旧来型メディアでは、こういう倫理に欠ける発信と受信は(少なくとも日本では)、おおむね避けられてきたと思います。しかし、SNSでは、”わたしだったら、あなたにだけ分配できます”という発信が、短期間に集中して繰り返しおこなわれます。そして、この発信は選挙期間が終われば消えてしまいます。
”しっぽに振り回せられる犬” にならないようにしなければなりませんね。