インドはアジアの大国です。仏教が発祥した東洋の国です。西洋の国ではありません。
カレーライスが好きです。出先でお昼を食べるときには、カレーライスをチョイスすることはよくあります。ちょっとした話題で、カレーは日本で最も人気のある西洋料理だよね?となりました。すると、ある人が、カレーはインド料理だから西洋料理じゃなくて、東洋料理だよ!ワハハ。う~ん、なるほど?? ちょっと違うかも知れない。
日本におけるカレーの歴史を調べてみると、明治5年の「西洋料理指南」と「西洋料理通」という2冊の本に、カレーのレシピが掲載されています。これが最初です。
☞ キッコーマン国際食文化研究センター『「西洋料理通」と西洋料理指南」を読む』
この2冊のレシピ本は、横浜に来たイギリス人が、日本人の雇人に料理の作り方を教えたメモを基にしています。
複数のスパイスからつくるインド風の本格カレーではなく、イギリスでつくられているカレー粉を使ったインスタントカレーでした。このカレー粉をつくっていた会社は、現存していてネスレの子会社になっています。詳しくはわからないのですが、今もカレー粉をつくっているようです ☞ Crosse & Blackwell
というわけで、日本のカレーはイギリス経由で伝わったので西洋料理という認識が定着したようです。
日本のレストランで最初にカレーライスを提供したのは、東京銀座の風月堂のようです。風月堂のwebサイトによると、「明治10年 米津松造、フランス料理を開業、カレーライス、オムレツ、ビフテキ等を8銭均一で売る」とあります。いつの間にか、カレーはフランス料理になっています。ちなみに、明治10年の8銭は今の感覚では2000円くらい(かけそば1杯が1銭だった)ですから、まぁ納得です。 ☞ 東京凮月堂「東京凮月堂の歴史」
日本で最初のカレー粉は、明治38年に大阪のハチ食品が発売したそうです。ハチ食品のwebサイトによると、「薬種問屋を営んでいた二代目今村弥兵衛が、ウコン粉を原料としたカレー粉の開発に取り組み、「蜂カレー」という名前で商品化した」とあります。☞ ハチ食品「元祖カレーメーカーの歩み」
カレー粉といえばS&Bですが、こちらは大正12年にカレー粉を販売開始しています。エスビー食品のwebサイトによると、「大正12年 創設者 山崎峯次郎が、わが国で初めてカレー粉の製造に成功。「日賀志屋」を創業」とあります。おや?こっちも初めてですね?・・よくわかりません。ちなみに、「日賀志屋」の商標が「太陽」と「鳥」を図案化したヒドリ印だったので、SUN&BIRDでS&B、エスビーとなったそうです。☞ エスビー食品「社史・沿革」
その後、昭和3年にカレー粉の製造をはじめたハウス食品が、バーモントカレーを発売したのは昭和38年のことです。☞ ハウス食品グループ「グループのあゆみ」
このバーモントカレーの発売と学校給食でのカレーの普及によって、カレーが私たちの世代の子供たちに広がったように思います。もう、誰もカレーの呪縛から逃れることはできません。