白いネコでも黒いネコでもネズミを取ってくるのがいいネコだ

風が吹けば桶屋が儲かる。・・猫が減ると、ネズミが増えて,桶がかじられる・・。

 

風が吹けば桶屋が儲かる。ちょっと見には関係が無いと思われることに因果関係があって影響を与えてしまうという意味と、とても当てにはなりそうもないことに期待してしまうという両方の意味があります。日本の江戸時代のことわざです。

 

東海道中膝栗毛
東海道中膝栗毛

1)風が吹くと土埃がたつ

2)土埃が目に入って盲人が増える  

3)盲人は三味線で生計を立てる

4)三味線をつくるのに猫が獲られる

5)猫が減ると鼠が増える

6)鼠が増えると桶を齧る

7)新しく桶を買うので桶屋が儲かる

 

 

さて、それぞれの因果関係には、確かなものと実際にはありそうもないものがあります。1)の風が吹くと土埃がたつ、は江戸時代の町では確かでしょう。しかし、2)の土埃と盲人は有りそうもないですね。

 

3)新たに盲人となって三味線を商いにする人は少なそうです。4)三味線をつくるのに猫の皮を使っていたのはその通りのようです。5)を飛ばして、6)猫が増えたからといって目に見えて需要が増えるほどに桶を齧るとは思えません。7)桶を買う人が増えれば桶屋が儲かるのは、まぁそうです。

 

そのなかで、「猫が減ると鼠が増える」という因果関係です。実は、この因果関係は多分にイメージで、確実とは言い難いように感じていました。

 

ところが、お殿様や公家、商人などのお金持ちが愛玩用に飼うということも あったのですが、江戸時代の猫は鼠の駆除を目的として飼われているものが大半だったそうです。特に鼠の害が重大なことになる養蚕農家では、猫を益獣として珍重しました。

なんと、馬1頭より猫1匹の方が値段が高いような年もあったとか。さらに、鼠をたくさん獲る猫ほど高い値がつきました。なかには、1日に何十匹もの鼠を獲る猫もいて、十両(今の価値なら100万円をはるかに超える)の値もついたそうです。

 

白いネコでも黒いネコでもネズミを取ってくるのがいいネコだ(鄧小平)というわけです。つまり、5)猫が増えると鼠が増える、は江戸時代には正しい因果関係でした。