事業継続計画(BCP)で強調するのは、「生命」と「信用」だけは失ってはいけないということです。
事業継続計画というのは、「事業を継続できなくなるような事態」大震災、大洪水、火災、親企業の倒産、重大な品質トラブルなどが発生した場合でも、事業を再開して、その後も継続させるという計画です。その場合、「カネ」があれば何とかなりますが、「生命」と「信用」はカネでは買えないので絶対に失ってはいけません。では、「カネ」はどのくらいあればいいのでしょうか?
事業継続計画を策定する場合には、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」に分けて計画をつくります。ただ、「ヒト」「モノ」「情報」を強化したり、不測の事態に調達するには「カネ」が必要です。裏返して言えば、「カネ」があれば、何とかなります。
会社の安全性を評価する主な経営指標には、次のようなものがあります。
不測の事態が起こっても事業継続できる力という意味では、「当座比率」が最も重要です。不測の事態に際して、直ぐに支払う「カネ」があれば事業を早期に復旧することに有利です。手元に「カネ」がなくて、改めて調達するのでは、早期復旧は厳しいです。
事業継続計画で重視する指標が、他の指標、例えば「流動比率」でなく「当座比率」なのかというと、「流動比率」の分子には棚卸資産が含まれているからです。不測の事態が発生した場合には、棚卸資産が多くあっても頼りにならず、直ぐに支払う「カネ=現金あるいは現金に近い資金」だけが頼りになります。
当座比率の目安は、一般的には100%以上です。但し、業種によって異なり、製造業や建設業では120~130%以上が必要です。第三次産業でも卸売業ならやはり120~130%以上ですが、小売業やサービス業は100%を下回っていても安全な場合もあります。消費者向けの小売・サービス業で、入金は現金、仕入れは掛けという場合は当座比率は低くなります。
例えば、事業継続計画(BCP)のなかに、「当社は当座比率を150%以上にしておく」と書き込んでおくのは、有効です。