原子力発電に頼るウクライナの電力事情ですが、持ちこたえているようです。
原子力白書の2021年3月末時点で世界の原発発電量ランキング。1位はアメリカ、2位はフランス、以下、中国、ロシア、韓国、カナダと続き、7位がウクライナです。この時点でウクライナでは、運転中の原発が15基で、合計出力1355万kWでした。電力の53.9%を原発で賄っていました。
世界の国で、原子力発電所が稼働しているのは33か国。計画している国を含めると37か国で原発が活用されています。この表をみると、いろいろなことがわかります。
先ず、アメリカの原子力発電所の稼働率がとても高いということ。仮に「年間発電量÷(出力×8760時間/年)」で計算すると95.7%となります。とんでもない設備稼働率です。
同じ計算をすると、フランスは71.1%、中国は79.3%、ロシアは78.4%、韓国は68.3%、ウクライナは68.0%となり、まぁそんなものかと思います。
一方で、日本は23.6%ともったいない状況が続いています。意外に、稼働率が高いじゃないか?と思われるかもしれませんが、東日本震災以降に日本では22基の原子力発電が運転を終了して閉鎖になりました。
次に、フランスの原子力発電依存度が70.6%ととても高いということ。また、フランスの56基を筆頭に、ドイツ・イギリス・ベルギー・スイス・オランダ、スウェーデン・フィンランド、スペイン、チェコ・ブルガリア・ハンガリー・スロバキア・ルーマニア・スロベニアのヨーロッパ15か国で合計123基の原子力発電所が稼働していることです。
単純に計算すると、15か国の電力の31.9%が原子力発電で賄われています。意外と高い比率のように思います。
現在の日本の原子力発電が電源に占める割合は、僅かに7.5%です。第3次エネルギー基本計画(2010年)では、2020年までに原子力発電の割合を50%以上、2030年には70%以上とすることになっていました。こうなっていれば、突然の停電に怯えることも少なかったかもしれません。
最後に、中国で建設中の原子力発電が17基もあること。また、計画中の原子力発電がさらに38基もあることです。稼働中の49基と合せると、ごく近いうちにアメリカを抜いて、世界一の原子力発電大国になります。
一方のアメリカでは、原子力発電の計画が縮小していますし、建設中の原発を途中で中止するようなこともおこっています。世界で建設中あるいは計画中の原子力発電所には、中国企業が参入するものが多くあるそうですから、中国がリードする時代が当分続くようです。
だからどうだ、と言うわけではありませんが、少々不安も感じます。