東洋経済の「住みよさランキング2021 ベスト50」で、山口県下松市が全国で10位になっています。
1位は石川県の野々市市、2位は東京都の武蔵野市、3位は文京区の順となっています。山口県では下松市が唯一のランクインです。中国地方では他に、5位に鳥取県の倉吉市、28位に米子市、41位に境港市が入っています。鳥取県には4つの市しかないので、そのうち3市が50位以内に入っているのはたいしたものです。
さて、下松(くだまつ)の全国的な知名度はどのくらいあるのでしょうか?
山口県の地名のなかでは、あまり知られていない部類に入るように思います。山口(市)や下関はともかく、岩国・宇部・萩・防府なども、名前だけは聞いたことがあるという人が多いでしょう。
知名度.netの推定知名度によると、下関市の知名度は51.4%、山口市は34.3%、岩国市27.3%、宇部市31.2%、萩市30.4%に対して、下松市は16.4%でした。
下松(くだまつ)という地名の由来は、推古天皇の時代に、この地にあった松の木に北辰星が降り七日七夜光り続けた。という伝説によります。光が末に降る(くだる)ということから、降松となり下松に転じたそうです。
この光は、百済の皇子が渡来することを告げるものだったとされます。この3年の後にやってきた琳聖太子が大内氏の祖となったわけです。
下松は地理的には瀬戸内海に面して、温暖で冬に雪が降ることもなく、台風などの被害もほとんど受けません。人口5万5千人の小さな町で、公共交通の便がすごく良いとはいえませんが、クルマがあれば不満はありません。基本的には周南コンビナートを抱える工業都市ですが、環境技術の進歩した現在では公害問題も大きくありません。大工場を中心に、産業基盤がしっかりしているので、経済的に豊かです。
ほどよい田舎で市街地はコンパクトなことから、子供にも高齢者にも住みやすいと評価されたようです。
一方では、個性というか、街のシンボルとなるような目立つものが無いということも言えます。特に美しい景観があるわけでもなく、ここにしかない文化とか、圧倒的な技術とかもありません。転勤者や移住者が多く、単身世帯の割合も高くなっています。
「住みよさ」を「住み続けよさ」に進化(深化)させるには、下松にはもう一工夫がいるのかも知れません。