ホッキョクグマは絶滅危惧種(VU:危急)に指定されています。
絶滅危惧種にはランクがあって、EX(絶滅)ーEW(野生絶滅)ーCR(絶滅寸前)ーEN(危惧)ーVU(危急)となっていて、現在の個体数が2~3万頭のホッキョクグマはVU(危急)に分類されています。このVUランクには、レッサーパンダ(野生の個体数が1万頭弱)などが入ります。ジャイアントパンダ(同じく2000頭弱)はENランクです。
クマは東南アジアが原産です。数十万年前から北上をはじめたクマは大型化してヒグマになります。約5万年前に北米大陸にはじめて渡ってさらに大型化し、ハイイログマ(グリズリー)となります。ハイイログマはヒグマの亜種。
これと分かれて、北上を続けて北極海にまで進出したクマはホッキョクグマになりました。
北極海には、他には大型の哺乳類がいない(怖いのはシャチくらい)ので、ホッキョクグマは生態系の王者です。アザラシなどの海獣を狩って繁栄をしていきました。北極海は文字通り海ですから、ホッキョクグマが狩りをしたり、生活をするには浮氷が必要です。
最近までは1年中氷に覆われていた北極海ですが、地球温暖化の影響で氷が減ってきました。氷の世界が消滅するとホッキョクグマは狩りができなくなって、食べること、生きることができません。徐々に大陸へと生活の場を移していきます。
一方で、ロシアでは北極圏開発が盛んになっていて、人の生活圏は北上しています。北極航路の開発など、北極海そのものにも人が進出してきたので、ホッキョクグマと人の生活圏が重なるようになり、ゴミ捨て場で餌をあさる様子が見られるようになりました。
ロシアのホッキョクグマは、人が住んでいない北米大陸(カナダ)側に移動しており、ロシアのホッキョクグマは近いうちに絶滅する可能性が高くなっています。
北米大陸ではホッキョクグマが南下するのにともなって、ハイイログマとの棲息圏が重なるようになりました。ホッキョクグマとハイイログマの交雑がはじまりました。ピズリーと呼ばれる野生の交雑種は、2006年にはじめて発見されたのですが、今では頻繁に見かけられるようになりました。
結局のところ、ホッキョクグマは絶滅するか、雑種化して遺伝子を残すのかの二者択一を迫られるのでしょうか? 今、地球上で人が起こしている争いと重なり合うものがあります。