食品ロスを減らそう!というのは間違いなく正しい

日本の食品ロスは年間570万トン。国民1人当り1日に124gという計算。

 

SDGsの”ターゲット12.3”では、「 2030年までに⼩売・消費レベルにおける世界全体の⼀⼈当たりの⾷料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの⽣産・サプライチェーンにおける⾷料の損失を減少させる」とあり、EUでは50%削減といった目標を掲げています。

 

食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢(農水省)にリンク
食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢(農水省)にリンク

食品ロスを減らすということの意義には、いささかの疑問もありません。食品は人間のエネルギーになるものですから、これを廃棄すること、ムダにすることが、もったいないことは間違いありません。

 

ただ、いつも気になるのが重量で表示される食品ロスの大きさです。果たして、本当に570万トンとか、1日124gの食品が廃棄されているのだろうか?という疑問です。この数字に実感がありますか?

 

おそらく、一般の日本人にはピンとこないように思います。それは、家庭で暮らす人も、食品産業や飲食店で働いている人でも同じではないでしょうか?

本来食べられるものを、そんなに大量に捨てる家庭はないでしょう。ましてや、事業として食品を取り扱う人にとっては、みすみす利益を損なうことをするとは思えません。

 

食品ロスの定義は「本来食べられるものが廃棄されること」ですが、この”本来食べられるもの”と”廃棄される”の定義が曖昧な気がします。

例えば、大根の葉とかジャガイモの皮は本来食べられるものです。また、日本では「過剰除去」は食品ロスに含まれますが、大根の皮を薄くむくのは難しいです。さらに、農家などで「過剰除去」した部分を家畜とかペットの餌にしても食品ロスに加算されるには実感と違います。食品ロスの570万トンの40%強が野菜・果物です。また、この重量には水分を含みます。

 

どうも、できるだけ大きな数字を示すことで世論を喚起しようとしているようです。日本人の食生活は、世界的にみて「もったいない精神」に長じているように思います。それは、過去のことではなく、現在においても同じです。

 

もちろん、さらに食品のムダを排除することは正しいので、ことさら大きな数字を示すことを非難することはありません。しかし、いつもマスコミに、自卑的に「日本はダメ・政府はダメ・日本人はダメ」と言って偉ぶる人が登場するのが、ちょっと嫌です。