世界のGDP総額が96.1兆ドルと推定されているので、GDPの約2.2%が軍事費ということになります。日本の軍事費のGDP比は1.0%以下とされていましたが、コロナでGDPが縮小したこともあって、2020年に1.03%、2021年は1.07%(541億ドル)となりました。それでも関係国と比べると、軍事費の割合は低水準を維持しています。
ロシアの2021年の軍事費は659億ドルでGDP比で4.08%、ウクライナは59億ドル(ロシアの1/10以下)で3.23%です。この時点では、大きな傾向の変化はありませんでした。
西側のアメリカは8,006億ドル(ロシアの10倍以上)で3.48%、イギリスは683億ドルで2.22%、フランスは566億ドルで1.95%です。これらの国の軍事費は、直近10年間でみれば微増を続けた状況です。
注目の中国は2,934億ドル(日本の5.5倍)で1.74%です。10年前(2011年)の中国の軍事費は日本の2.5倍だったのですが、日本は軍事費が横ばいなので、現在では大差がつきました。2021年の中国の軍事費総額の増加幅は、世界全体の増加額より大きくなっています。
2022年になって、ロシアのウクライナ侵略戦争が勃発しました。戦争の当事者であるロシアとウクライナ、これと直接隣り合っているNATO諸国をはじめとする欧州各国の軍事費は増大していきます。さらに、中国の軍備増強の動きが停まることはなさそうですから、日本を含む中国の周辺国でも増額は不可避でしょう。北朝鮮の脅威も拡大を続けています。
軍事費の対極にある世界の保健医療費ですが、世界の総額ははっきりしません。保健医療の範囲をどう考えるかといった課題があるようです。OECD加盟国の総額は2018年に7.07兆ドルとなっています。
この額は、OECD諸国のGDPの約9%にあたります。2020年には、コロナ禍によって、OECD加盟国の保健医療費は約10%増加しています。コロナ感染症対策費の増大はOECD以外の国でも同様です。
軍事費と保健医療費(コロナ関連費)の大幅な増額が、最も影響を与える分野はどこでしょうか?気になります。世界には、貧困や飢餓に苦しんでいる人、安全な水の提供を受けていない人、不当な環境で働かされる子供などが、現に存在しています。結果的に、こういった人々が取り残されることが大いに懸念されます
先ずは、ロシア軍がウクライナから一刻も早く撤退することが求められます。
もちろん、コロナ騒動も、いい加減にしないといけません。