確かにロシアへ経済制裁だけでは足りない

プーチンがロシアへの経済制裁は失敗したと発言している。ちょっと調べてみました。

 

実際に西側諸国の経済制裁がロシア経済にどの程度の影響を与えるのか、JETROが試算しています。ロシアに対する経済制裁の世界経済への影響 ――IDE-GSMによる分析

中国が経済制裁に参加しないという前提で、世界経済への影響は▲0.3%。最も不利益を被るのはロシア▲4.6%。中央アジア諸国▲1.5%、中国▲0.5%、欧州▲0.4%、米国・日本▲0.1%という試算です。

 

ロシアへの経済制裁の影響
ロシアへの経済制裁の影響

もし、中国が対ロシアへの経済制裁に参加した(全面制裁)場合には、世界経済へ影響は▲0.7%。ロシア▲15.8%と。ロシアのダメージは拡大します。

この場合には、中国のマイナスも▲0.9%と拡大します。ゼロコロナ政策で迷走している中国政府として、これ以上の経済低迷の拡大は容認できないので、対ロシア前面制裁には乗れません。

 

順調な中露直接貿易(中国のロシアとの1月から3月の貿易全体は28%増の382億ドルだった)に加えて、中国を経由したロシアへの貿易もあることから、現実的はロシアへの影響はGDP▲5%程度ということになりそうです。

 

感想としては、プーチンが言うように、経済制裁だけでロシアに大きな痛手を与えるのは難しいということです。次の方策(やはり、軍事的な支援になるでしょうか)が無ければ、ロシアのウクライナ侵略を止めることはできないようです。

 

ただ、逆に見ると貿易に関してロシアの力が弱いということもわかります。ロシアとの貿易がゼロになっても、日本やアメリカの受ける影響は▲0.1%しかないわけです。(もちろん、分野によっては大きいですが:例えば日本の場合だと水産品とか繊維・衣料の一部とか。)

 

2020年のデータで、ロシアは輸出額で世界16位・輸入額では世界21位です。ライバル?の中国の1/10の規模しかなく、台湾よりも小さいのです。 1985年では、ソ連は輸出額・輸入額ともに世界7位で、中国の3倍の規模でした。

 

このあたりの存在感の低下がプーチンの焦りになっていることも否めません。

(貿易での存在感低下は日本も同じですけど・・)