2021年の1年間に労働災害により、死傷者(死亡したり休業4日以上のけがをしたりした人)は、14万3156人。前年(2020年)と比べて16%も増加した。
労働災害での死傷者が19,691人も増えたということで、由々しき事態のように思えます。ただし、死傷者が最も増えている事故の類型は「その他」で、14,384人です。「その他」のなかには新型コロナ感染症の関係と予想されます。介護施設や医療施設で感染した人が労災認定されて、4日以上休業したケースです。また死亡災害でも「その他」が49人増えています。
コロナ感染症を考慮すると、労災統計の連続性が曖昧になってしまいます。そこで、「その他」の事故類型を外してみたら、下の表のようになりました。
先ず、死亡災害は毎年減少していたものが2021年に増加に転じています。農水産業の死亡者39人は過去5年間で最も多くなっています。製造業・建設業でも前年対比で死亡者が増加しています。
死傷災害は前年比増加とともに過去5年間で最も多くなりました。死傷災害の約半数は第三次産業で発生します。コロナ感染の陽性判定を受けた方が自宅待機するなどで、一人当たりの業務負担が増えたり、慣れない仕事や普段と違うシフトでの勤務などが死傷災害につながった可能性が指摘されています。
新型コロナ騒動もそろそろ終息と思います。事業者には、労働の場において、働く人の生命と健康を守ることは最優先の課題です。年度末を迎えますので、改めて業務の点検を丁寧に実施して欲しいと思います。