2020年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は19.3兆円でした。
これは、2019年の19.4兆円から僅かに減少しています。サービス系のBtoC-ECが2.6兆円の大幅な減少です。コロナ騒動の影響で、旅行が▲60%・チケット販売が▲65%など大きく減りました。逆に、物販は2.2兆円も増加しました。音楽や映像ソフトが43%・生活家電が37%などコロナ騒動の巣ごもり需要で大きく伸びています。
物販のBtoC-ECは、2020年に21.7%という大幅な伸びを記録して、市場規模は12.2兆円になりました。物販全体の8%強がECによっておこなわれたということになります。
2021年のデータはまだ公表されていないのですが、さらに拡大しているものと推測されます。
BtoC-ECによって成長が期待できると考えた多くの中小企業がECに挑戦しています。このため、市場規模の拡大以上にプレーヤーの数が増えています。
2019年にECサイトの総店舗数が約270万だったものが、2021年には約420万と、150万も増えています。
ECに参入する事業者が増えたので、市場規模も拡大したわけですが、問題は生産性です。プレーヤーの数が増えたほどには、市場規模が拡大しないのは当然としても、実店舗でのビジネスと比較してECの労働生産性が本当に高いのかどうかです。
そもそも、ECは規模の経済性が大きく寄与するので大企業ほど有利です。実際、BtoB-EC(事業者向け電子商取引)に参入した大企業では業務効率化が達成され労働生産性が向上していることは確かです。しかし、大企業でもBtoC-ECへの取り組みが労働生産性の向上にはあまり寄与しないようです。また、一旦参入したBtoC-ECからの撤退もかなりあります。
中小企業の場合は、BtoC-ECへの参入は労働生産性ではむしろマイナスの影響を与えることが多いようです。これは、規模が小さいことに加えて、手数料などの負担や技術的な弱さが原因になります。このため、国のDX推進という成長戦略のなかで、政策的な支援を受けることが、中小企業にとっては必須になっていると思います。