『失敗の本質』は、東京都の小池百合子知事が「座右の書」として称賛しています。
『失敗の本質 』は、旧日本軍がどうして戦争に敗けたのかを社会科学の面から研究した本です。1984年(昭和59年)に出版されていて、当時新入社員だった私たちは、上司から読むように薦められました。今でも、文庫本としてよく売れているそうです。
旧日本軍の失敗の本質として、9つが挙げられています。
1.戦争終結の目標があいまいで不明確だった。戦争を有利に終結させる基本的な設計ができていなかった。
2.山本五十六が語ったように、半年か1年で勝利しようと考えた。長期的な展望がないままに戦争に突入した。
3.情報や兵站を軽視して、「必勝の信念」で作戦を立てて実行した。また、前線部隊でも合理的な判断よりその場の空気を忖度して行動するようになった。
4.戦略にオプションが少なく、最初のプランを頑なに実行するしかなかった。(カーリング競技で見られたような)Aプラン・Bプラン・Cプランのような柔軟な変更はできなかった。
5.戦艦大和や零戦など優れた兵器はあったが、全体のバランスを欠いていた。また、優れた兵器を運用するには卓越した技能が必要で、人とのバランスもとれていなかった。
6.旧日本軍は階層的・官僚的な組織構造でありながら、意思決定システムが機能していなかった。下位階層の者の意見でも、十分な検討過程を経ず採用されることがあった。
7.人間関係や属人的な意思決定がされたことに加え、陸海空軍の協力関係が乏しく、統一された組織になっていなかった。
8.自軍の戦力を過大に評価=相手の戦力を過少に評価した。「敵にも我軍と同じような精神力があることを忘れていた」と後になって反省した。
9.リーダーを戦闘の結果ではなく、動機ややる気、プロセスで評価した。その結果、勇ましく奮闘する(しかし、結果として敗ける)リーダーが更迭されることなく、繰り返し投入されて、敗戦が続いた。
ロシア軍には、当てはまるところがないでしょうか?