今日は節分です。恵方巻という奇妙な行事がはじまってから、どのくらい経ったでしょうか?
その年の「恵方」と呼ばれる方角を向いて、言葉を出さないで、願い事をしながら、巻きずしを丸かぶるすると、何やらよいことがあるそうです。私たちが子供の頃では、少なくとも全国的な行事ではなかったわけで、全国的な認知度が高まったのは21世紀に入ってからです。つまり、とても新しい伝統行事という不思議なものです。
恵方巻の縁起については、ネットにたくさん出ています。まぁ、諸説あるのですが、要するに起源ははっきりせず、どうも古くは寿司業界・海苔業界、最近ではコンビニ業界のつくりだした販促宣伝のようです。
現存する最も古い文字資料は、1932年(昭和7年)に大阪鮓商組合が発行した宣伝チラシです。このチラシに恵方巻のことが紹介されています。戦前は、大阪の寿司業界の販促宣伝ということです。
戦後になると、1951年(昭和26年)に大阪府海苔問屋協同組合が節分の海苔巻きを宣伝をおこないした。この宣伝は思いのほか効果があったようですが、長続きしませんでした。
戦後の高度経済成長期をむかえ、国内の海苔需要が拡大したために、海苔の生産が間に合わない状況となって販促する意味がなかったからです。大阪海苔組合が再び恵方巻を宣伝し始めるのは、国内の海苔供給体制が整った1970年代後半のことです。
1980年代には東京の海苔組合が大阪を真似てイベントするようになります。そして1989年に大阪出身のセブンイレブン広島市舟入店のオーナーが自身で商品化して評判をとります。これを受けて1998年にセブンレブンが全国販売を開始したことで恵方巻が全国的に広がったという経緯です。ちなみに「恵方巻き」はセブンイレブンの名付けで、大坂では節分の巻き寿司と呼ばれていただけです。
恵方巻き・節分の巻き寿司も、全国的に有名になって20年が経過しました。お昼頃にスーパーに行くと、パックの巻き寿司が山積みになっていました。
ちょっと話を聞くと、もうオーソドックスな巻き寿司ではあまり売れないようです。年中行事になったわけなので、特別な巻き寿司が購買意欲を刺激するようです。豪華な海鮮とか肉巻きやサラダ巻きとか、中には金箔巻きなどの非日常な巻き寿司が人気です。
さらには、巻き寿司ではなく「丸かぶりロールケーキ」や「いわし(鰯)の丸かぶり」などといった商品もあります。
ところで、節分に豆を撒いたり、年の数だけ豆を食べたり、はやらなくなったのですかね?