労働災害による死傷者に60歳以上の労働者が占める割合が増加しています。
長く続く出生率の減少で労働人口が減少しています。定年を延長して高齢者の就労を促進する方向性です。政府は企業に高齢者雇用の義務を課していますが、高齢者の労働安全衛生の問題にはよい解決策がありません。少し、乱暴なことを言えば職場で倒れる人、職場で亡くなる人が増えていきそうですから、なんとかしなけりゃいけません。
私が会社に入って、工場で働き始めた頃には高所作業は55歳までというルールがありました。ユーティリティーラックの上での保全作業等は、55歳を超えた人はしてはいけないという決め事です。
当時は60歳定年でしたが、法的には60歳定年は努力義務(法律で定年が55歳から60歳になったのは1998年)でした。55歳以上60歳未満の人が、そんなに働いていなかったので、こんなルールがあっても、困りません。
今こんなルールを適用したら、作業できる人がいなくなって、工場は動きません。
40年前の55歳(とか65歳)と、今の55歳(65歳)で健康上の違いがどの程度あるのかは疑問です。確かに高血圧や糖尿病の症状を抑える薬剤は進歩しているかも知れませんが、基礎的な身体能力はそれほど改善されていないように思います。
そうした状況では、会社の仕組みとして高齢者の労働安全衛生の改善を図る必要があります。
厚生労働省が20202年3月に「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)を策定していますので、参考にしてください。
ガイドラインには、働く人も「事業者が実施する取組に協力するとともに、自己の健康を守るための努力の重要性を理解し、自らの健康づくりに積極的に取り組むことが必要です」とあります。私の方は、マラソン大会がコロナ騒動で中止になりましたが、週末スロージョグで健康つくりです。