シーボルトの「日本」~SNSでのカンニング

メッセージアプリを使ったカンニングがあったとして、共通テストの世界史の問題がマスコミに映り込みます。

 

何気なく見たのですが、ちょっとビックリしたのです。もう記憶の彼方ですが、昔の問題文もこんな感じだったのでしょうか? 何にビックリしたのかというと、問題文から受ける印象と設問の内容が結構離れているような気がしたのです。

 

2022世界史B
2022世界史B

問題文1は、シーボルトが日本に来て、博物学の研究を進め「日本」を著述したこと。そのなかには、朝鮮に関する記述もあったことが書かれています。

 

これに対して、設問は中国で出版された著作が取り扱った分野を尋ねたり、欧州諸国のアジアでの拠点を知っているかを問うたり、中国と朝鮮の関係を確認したりしています。

 

う~ん、シーボルトや「日本」はどこにいったののか?と思ってしまいました。おっ!シーボルトかと、うっすらとした期待を持ったのですが、設問を見てがっかりしました。

これじゃ、問題文(文章)を読まずに、設問(これを問題文と呼ぶのかね?)だけ読んで、回答できるじゃないかとツッコミたくなります。

 

私たちは昭和54年の共通一次第1回目を受験した世代です。当時の共通一次試験は、もっとクイズのような問題だったのではないでしょうか? 今の試験問題は短文ながら読みごたえのある文章になっていますね。

当時はSNSを使ったカンニングなんかは夢にも思えませんでした。それどころか、マークシート方式というのが初めて導入されたので、本当に機械がちゃんと読み取れるのかをみんなが心配していたように思います。随分と昔のことです。

 

ところで、設問1は中国の偉人についての問題です。中国の試験と言えば科挙です。

解答は①の李時珍ですが、李は科挙に何度も挑戦したが合格できずに医師になった人物です。当時の中国では、科挙に合格して官僚になるのが一等で、医師は二等とみなされていたのです。②の司馬光は科挙合格ですが、③の宋応星も技術者で科挙には合格していません。④の照明太子は、梁の武帝の長子(皇太子)ですから科挙の対象外です。