行政のデジタル化。日本では正しい戦略なのか?

日本人口の高齢化が進むなかで、デジタル化を強いることの是非を考えて欲しいと思います。

 

2021年、日本の高齢者人口は3640 万人。総人口に占める割合は29.1%と世界でも断トツの高さです。第2グループはドイツ・イタリアなど西欧の伝統国ですが、高齢者人口の割合は22~23%です。日本の高齢者人口の割合は今後も上昇を続け、2040年頃には35%を超え、2050年頃に37~39%でピークを迎えて、その後は横ばいの予想です。

 

以下は、総務省の令和3年情報通信白書からの抜粋です。

 

先ず、日本はデジタル化に遅れている後進国だという指摘がされますが、下の図のようにデジタルインフラでは世界トップの位置にあります。

日本人の59歳以下の現役世代は、デジタル利用率が国際的な比較でも非常に高くなっています。つまりは、高齢者のデジタル利用率が低いのですが、恐らくこれは世界中どこでも同じだと思います。日本のデジタル化が遅れているという指摘は、日本に高齢者が多い(高齢者の割合が高い)というのと同じです。行政のデジタル化を進めるといっても、その行政サービスの対象者でも高齢者が占める割合が高くなります。

 

高齢になると新しいことを学ぶことは億劫です。認知力や判断力も衰えてきます。自動車での暴走事故や、特殊詐欺での繰り返し被害などの報道を見れば、デジタル化のリスクは大きいように思います。さらに、今後は家族と同居しない高齢者が増えていくわけですから、より事態は深刻です。

 

行政のデジタル化と言いますが、超高齢社会となる日本の将来を考えれば、ここはよく考えるべきことと思います。