「文通」という言葉はときめきのイメージもありますが、今はやりの「文通(費)」は少々胡散臭い感じになっています。
正式には「文書通信交通滞在費」というのだそうです。国会議員に支給される公の活動経費です。議論になっている点は、➀その月に1日でも在職すれば1か月分が支給される、②使途の報告や公開が求められないこと、の2つです。➀に対して、日割り支給に改める法案は与野党で合意されそうです。②の使いみちの公開には与党は反対しているようです。
本来、日本のような大国の国会議員が真っ当に活動するなら多額の経費がかかることは当然です。個人的には、必要なだけの経費を自由に使って構わないので、そのアウトプットを出してもらいたいものです。
また、使いみちの公開には特に意味を感じませんし、弊害の方が大きいような気がします。国の安全保障が危機的な状況にあるなか、議院内閣制の日本で、国会議員がどこで誰と会っているかを公開することを、国会議員自身が要求するというのは、異常で信じられないのです。
そういう仕事はする気が無い?ということなんでしょうか。
それはさておき、政治家や、最近は大学関係者の不正経理はニュースになります。一般の会社でも不正経理が無いわけではありませんが、基本的に組織体なのでそれほど頻繁には起こりません。政治家や大学理事などは、組織体ではなく個人の集合なので、構造が曖昧で不正が起こりやすい原理を持っています。
会社の場合は一部のオーナー社長と勘違いしている重役などを除けば、相互チェックが働きます。簡単に言えば、誰もが、周りの人より特別に異なる位置にあるわけではないからです。エリート意識というか、自分は他人とは違うという意識が不正を起こす要因になります。
自らの職責を全うするうえで、必要な経費を堂々と使ってもらって結構です。ただ、この「職責を全う」しているのか、していないのか評価するのは容易ではありません。
政治家の場合は(国での地方自治体でも同じですが)他人から評価されるのは難しいので、自らの活動について自らの判断で(可能な範囲を)公開することが絶対的に必要です。文通費をそのために使って欲しいものだと思います。
文通費問題を解消する最適な方法ですが、こういう経費として使用される資金は組織に給付することです。本来は、国会議員の文通費は国会議員個人に支給されるのではなく、議員をトップとするチームの活動費のはずです。ところが、そのチームの大きさや能力に差があります。
そこで、文通費はより大きな組織(政党)への一括給付として、そのなかで分配させるというのが正解かと思います。その際の政党への支給額は、単に所属議員の人数ではなく、その政党や議員の働きぶりや成果によって、査定されたものであるといいです。