昔は守りが固い方が最後には勝っていた

お城が好きな人は多くて、テレビ番組でもよく取り上げられます。美しい天守閣は、大名の権威を示しますが、城の軍事上の目的は「防衛」です。

 

戦国時代から江戸時代に建てられているお城は「攻撃」ではなく「防衛」の拠点です。この時代の戦いは、局地戦での勝ち負けではなく、総合力で勝敗が決します。勝ちきるには、持続的な兵力の動員力、兵站を維持する物流や保管、資金を調達できる経済力などが必要です。つまり、攻撃に耐える「防衛力」が強い方が最終的には勝つのです。

 

姫路城
姫路城

江戸時代が終わり明治になる頃には、戦いは「攻撃」力で勝敗を決するようになってきます。攻撃する側の技術革新が進み、戦艦や戦車、大砲や火器が強力になっていきます。

日本のお城は、ペリー艦隊の大砲で攻撃されると、その防衛力はほぼ無力です。総合力を発揮しようにも一気にやられてしまいます。

 

攻撃が防衛に対して優位といっても、戦後の日本では攻撃力を保有するわけにはいきません。そこで、無力とあきらめるわけにいかないので、防衛力の強化に努めました。そして、日本の防衛力強化は、日米安保同盟の傘の下で、米ソ冷戦から、ソ連崩壊、核軍縮の進展などもあって、ある程度の効果を維持してきました。言い換えれば、攻撃と防衛が均衡してきたのです。

 

ところが、ここにきて、やっかいなミサイル技術が進歩してきました。北朝鮮でさえ、大陸間弾道ミサイルに核兵器を搭載して、潜水艦から打つなどという計画です。中国の核兵器はさらに大いなる脅威です。同時に複数のミサイルを発射(なかには「おとり」も混じる)されると、日本のミサイルディフェンスが完全に機能できる可能性はなさそうです。

 

このために、「攻撃は最大の防御」と考えて、敵基地攻撃能力を持とうという意見があります。双方が攻撃をうけるかも知れないと考えれば、抑止力になるというわけです。

しかし、そううまくいくような気がしません。現在の中国や北朝鮮の状況を見れば、戦いが起きるとしたら、かなり偶発的なきっかけによるものと思います。それが、何かはわかりませんが・・。

 

では、徹底的に防衛力を高めるべきかと言えば、それも違いそうです。こちらが防衛力を高めれば、相手はそれを打ち破る攻撃力を開発しようとします。実際、どんなに高度なミサイルディフェンスを構築しても、悠々とこれを超える技術が登場してくるのです。この攻撃と防衛の技術開発競争は、限定条件が少ない「攻撃」側にどうしても分があります。

 

アメリカが北京オリンピックを外交的ボイコットすることを表明しました。アメリカは中国や北朝鮮を孤立させたいと考えています。日本は中国や北朝鮮との関係をどう整理していくのか、難しい課題です。

残された方法は、お城の時代を思い起こして、隠密や忍者・間者等を駆使したり、交際と見せかけた罠をしかけたり、相手国の民衆を調略することかな?と思います。黒田官兵衛・長政親子みたいな人材が求められていますね。