和製漢語については以前もブログで書いたことがありますが、統計や確率も和製漢語です。
統計の方は本家の中国でも統計です。確率は中国では概率と書きます。英語のstatisticsを訳したわけですが、State は国家ですから、元々統計は、国の人力や財力などの国勢データを比較検討する学問を意味したようです。尚、「統計」という言葉を発明したのは、幕府の洋学教育研究機関である開成所の教授を務めていた柳河春三という方です。
明治新政府は、明治4年(1871年)年に大蔵省のなかに統計司(すぐに統計寮と改称)を設置しています。
歳入歳費・公債証書・紙幣・印紙の発行数、戸口地方面積、物貨の産出、海外輸出入品の多寡などを表出して閲覧に供する事務を管掌するとされています。
明治7年には、歳入出予算の事務、金穀出納月報の編製も出納寮から統計寮に移管されました。その後、明治10年に大蔵省の各寮は廃止され局に変わります。
この間、明治6年から10年まで、統計寮が発行していたのが日本政表で、人口・貿易・警察・司法・貨幣・教育などの統計をまとめています。
統計は国力の定量的な評価としての意義が大きくあります。
統計の始まりは不明ですが、古代エジプトでピラミッド建設のために人口や就労の状況を調査した記録が残っていますし、孔子が中国での人口調査について書いてもいます。
現在、統計調査をセンサスというのは、ローマ帝国:の初代皇帝アウグストゥスが人口や土地を調べる調査(Census)をおこなったことに由来します。
統計は国の柱として重要です。また、統計は生命や健康という面でも大きく貢献しています。17世紀には、生命保険が生命表(死亡表)の統計データを基にしてヨーロッパで始まりました。ナイチンゲールが衛生統計を発展させたのは19世紀後半のことです。
マスコミに登場する妙な専門家さんたちのコロナデマが蔓延していますので、ほんまもんの統計専門家にしっかり頑張って欲しいものです。
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