エタノールは酢、メタノールは蟻

ファミレスで案内を待っていたら、検温とアルコールでの手指消毒を促されました。

 

膨大な量のアルコールが日本人の身近にあるというのは、とても稀なことです。アルコールは可燃物ですから、アクリル板やビニールカーテンの設置と相まって火災事故の発生を懸念していました。しかし、夏の自動車内で気化してボヤとか、アルコール消毒した手でコンロに近づいて軽いやけどとかありましたが、あまり大きな事故は起こっておらずホッとしています。

 

メタノールとエタノール
メタノールとエタノール

消毒用に使われるアルコールはエタノール(エチルアルコール)です。手指の殺菌消毒剤の場合は60~80%のエタノール濃度です。これに粘性を持たせるような添加物を混ぜています。

アルコール消毒液は当然ですが火を近づけると常温でも(80%エタノールの引火点は20℃くらい)引火します。ご注意!

 

エタノールはお酒に使われるアルコールですから飲めます。どうも、ロシアとか中東あたりでは、実際に手指消毒剤を飲んでいる人がおりそうです。

 

昨年、ロシアで手指消毒剤を飲用して、9人が亡くなるという死亡事故が発生しています。この事故で飲まれた粗悪な消毒剤には、エタノールに加えてメタノール(メチルアルコール)が混入していたからだそうです。入浴剤、マウスウォッシュ、香水、ローション、凍結防止剤などなどアルコールが入っている液体ならなんでも飲んでみる人たちがいるようですが、危険です。これらの液体にはメタノールが含まれる場合があります。

 

エタノールとメタノールは化学構造でみれば、大した違いが無いように見えます。実際に、ウイスキーなどお酒をつくるとメタノールが混入しています。酒造業者は、これを蒸留してメタノールを取り除いて販売します。密造酒や自家製酒のなかには、メタノールが残っている場合があるので飲まない方がいいです。

 

エタノールとメタノールの大きな違いは、分解してできるものが、エタノールは酢酸(お酢)ですが、メタノールはギ酸(蟻酸)ということです。ギ酸は神経細胞、とりわけ視神経にアタックします。目が見えなくなるので、メチル=目チル(散る)アルコールなどと言われます。さらに、ギ酸は腎臓や肝臓に致命的な損傷を与えます。

 

メタノールは、エネルギー分野では注目が高まっている化学品です。これから、より身近になってくると思います。でも、飲んじゃダメです。