果物のなかで純国産と言えるものは、「梨」だけです。
みかんなどの柑橘類は、インドのアッサム地方が原産で、中国を経由して日本で栽培されるようになりました。リンゴはヨーロッパが原産で、日本にはアメリカから原木がもたらされました。ぶどうは、ヨーロッパ原産のものと北米原産のものがあり、日本で栽培されるぶどうは両者の雑種です。柿や桃は中国が原産のようです。
ちょっと、季節外れのブログになったのは、このタイミングで梨農園の経営診断をしたからです。悪しからず。
さて、現在の梨はニホンヤマナシという日本古来の野生種から生まれています。日本書紀で、持統天皇が五穀とともに梨を育てることを奨励する詔を出されたことが記されています。
江戸時代には、梨は百菓の長といわれて、主食以外のあらゆるもの(果物・野菜・菓子全てひっくるめて)のなかで、最高だと言われていました。
そんな梨ですが、人はより美味しいものを求めますから、品種改良が進んでいきます。
戦前までの梨は、赤ナシ「長次郎」が最大のシェアを獲得していました。病気に強くて栽培しやすいことと、しっかりした食感が好まれたようです。
戦後になると、まろやかな甘みが特徴の青ナシ「二十世紀」が登場してきます。特に西日本では好まれました。二十世紀は病気に弱い欠点があったのですが、鳥取県の農家がパラフィン紙の袋掛けを開発するなど防病対策を徹底したお陰で、長次郎を駆逐していきました。
青ナシ二十世紀の時代にストップをかけているのが、赤ナシ「幸水」です。より甘味の強い品種で、名前の通りのみずみずしさで人気を得ました。ただし、幸水は早生品種なので、夏の盛りで旬を迎えます。そこで、幸水を母にした晩生な「豊水」が誕生しました。
山口県の場合、梨園の多くは10月中旬から下旬で収穫は終わります。今は、施肥や土づくりの時期で、それが終わると剪定作業をして来年に備えます。