実は、私たちの足下、瀬戸内海の海洋プラスチックごみ問題を深刻に考えていませんでした。
世界の海はつながっています。日本列島周辺は、世界で最も海洋プラスチック濃度が高い海域となります。これは、南西からの黒潮の流れによって、多くのプラスチック類が日本列島の周りに集まってくるからです。プラスチック類の海洋への流出量は、全世界で年間約1000万トンと言われます。国別で排出量の多いのは、順に中国、インドネシア、フィリピン、ベトナムと推定されており、日本に流れ着きます。
海洋に流出したプラスチックは分解されないので、世界の海には1億5千万トンのプラスチックごみが存在すると推定されています。
毎年1000万トンが新たに流入すると、30年後には海に棲む魚の重さより、プラスチックの重量の方が大きくなるそうです。
日本のレジ袋有料化も海洋プラスチックごみへの警鐘です。もちろん、実質的な効果があるわけではないのですが、人々の意識を海洋プラスチックごみに誘導することには一定程度成功しました。
海洋ゴミに限らず環境問題では、当事者は加害者にも被害者にもなります。海洋ゴミに関しては、地理的に日本はどちらかと言えば被害者の面が大きいわけです。
このため、日本人が真剣に海洋ゴミの削減に気持ちを持っていくことが少ないように思います。
そこで、先ずは外国との関係がほぼ無い、瀬戸内海の海洋ゴミを撲滅することは、日本の素晴らしさを国内外に示すことになります。
瀬戸内海の海洋ゴミの収支は2010年に鹿児島大学の先生などが発表したデータくらいしかありません。ちょっと古すぎますが、仕方ないので参照します。
瀬戸内海へのゴミ(プラスチックに限りません)は、年間3000tが陸地から、1200tが海域から、300tが外界から流入します。(合計4500t)
4500tのうち1400tは陸上に漂着あるいは漁協や各種の団体が回収します。また、瀬戸内海から外海へと2400tが流出します。700tは海底へと沈んでいきます。
陸地からの3000t、海域からの1200tをそれぞれ(ほとんど)ゼロにするのは、日本人の働きだけでできます。しっかり、取り組んでいきたいものです。