弥生時代以前にブタが家畜として渡来していた

吉野ケ里遺跡から発見された弥生時代前期の遺物にブタの骨があるそうです。

 

ブタ???って思いますよね。遺跡から見つかっている獣骨は、イヌ・シカ・イノシシ、それにブタなんだそうです。そう、イノシシは野生種ですから狩猟によって得られたわけですが、ブタは家畜で野生にはおりません。弥生前期の吉野ケ里に住み人たちはブタを食用の家畜として飼っていたそうです。

 

ブタの母子
ブタの母子

このブタたちのルーツはやはり大陸なんだそうです。日本でイノシシを家畜化したのではなく、大陸で家畜として飼育されていたブタが海を越えて渡来したということです。

 

ブタ渡来説は、縄文の遺跡から見つかるイノシシと弥生時代のブタの骨格が全く違うことと、弥生の遺跡からは狩猟で捕獲されたイノシシの骨も見つかっていることから、確実のようです。

 

家畜としてのブタは、ユーラシア大陸の複数の場所で時を変えて誕生していたようです。なかでも最も歴史を遡るのは西南アジアで、今から1万年くらい前のことです。それから8000年近い時を経て、ブタは日本に渡来したわけです。ブタの渡来は、弥生時代の人々の生活(特に食生活)を大きく変えたようにも思います。

 

弥生時代のブタの骨の多くは吉野ケ里遺跡を含む九州の遺跡から発見されています。しかし、数は少ないものの機内や東海地域、さらに関東に至る広い範囲の遺跡でブタの骨は見つかっています。また、ブタの種類(大きさ)も複数あるそうです。

つまり、弥生時代前期までに、かなりの数の大陸の人が、時をずらしながら日本にブタと一緒に九州に渡来した。そして、全国に移動していったということです。

 

ここまでが、日本のブタ飼育の定説だったのですが、最近新しい発見がありました。

「日本列島でのブタ飼育は、 弥生時代ではなく、縄文時代からすでにおこなわれていた?」

名古屋大学博物館の新見先生と沖縄埋蔵文化財センターの盛本先生の共同研究です。沖縄県嘉手納町の野国貝塚から縄文時代早期にブタを飼育していた証拠が見つかったそうです。

日本列島でのブタ飼育の歴史が一気に4000年遡りました。

 

但し、縄文ブタは高齢になるまで飼育されていたようです。弥生ブタは食用ですから、高齢にはなりません。また、弥生ブタはいろいろな祭礼や儀式でも使われていたこともわかっています。沖縄で縄文ブタが飼育されていたことは確かなようですが、何の目的であったのか、謎は深まりました。

 

尚、山口県では養豚業の廃業が続いて、今では県内に8者となりました。そのなかで、周南市の鹿野ファームが大活躍です。西中国山地の山間で育てられるこだわりの豚肉をご賞味ください。