最初に、与信管理は営業・販売部門の仕事(責任)です。管理部門ではありません。
仕事は販売した商品やサービスをお客様に納めて、その対価である現金を手にして、はじめて終わります。何を、誰に、どういう条件で販売したいきさつを知っているのは営業・販売部門だけなので、与信管理の最終責任も当然に営業・販売部門が持ちます。
日本の商取引の大半は信用取引なので、与信管理はもともと重要です。
一方で、日本では諸外国と比較して、企業倒産や債務不履行となるケースは稀です。
また、伝統的に営業・販売部門に売上額至上主義というか、成約までが仕事といった意識が強く残っています。
現金として回収するまでが、営業・販売部門の仕事であると、しっかり認識しなければなりません。
最終責任が営業・販売部門にあるといっても、経理・管理部門のサポートも重要です。残高管理・回収管理のチェックを適切におこなうことはもちろん、市場の動向や景況調査などから、与信再チェックの機会をつくりましょう。
どんな会社でも、最初に取引を始める場合には、信用調査会社のデータを参照したりして、それなりに相手先の調査をするものです。しかし、長年に渡って取引を続けていると、なんとなく惰性がついて、相手先の与信悪化に気がつかない懸念があります。
リスクには必ず兆候があります。売上高の増減が大きくなっているとか、注文を受けた商品の構成が不自然に変わったとか、安値販売しているという情報が入るとか、いろいろです。何かの変化があれば、その原因が何かを調べてみましょう。
売掛金回収ができないなんてことは、そうそう起こることではないのですが、気をつけるに越したことはありません。これからは、新型コロナ感染症への政府などの対応も新しい局面を迎えそうです。
これまで、コロナと関係なく業績が悪化はしていたものの、コロナ対応として望外に手厚い保護を受けていた事業者も多いです。その保護が外れてくると、一気に資金繰りに窮する会社が出てきても不思議ではありません。怠りなく準備をしておきましょう。