衣類の輸入浸透率(国内で売される衣類の輸入品の割合)は、2018年に97.7%でした。
具体的な数字は、国内で製造された衣類は9568万点。輸入された衣類は38億3354万点で輸出されたのが736万点でした。差し引き国内で販売された衣類が39億2186万点となるので、38.3354÷39.2186=97.7%となります。国産割合は2.3%ですが、国内の縫製工場では合計3万人を超える外国人技能実習生が働いています。どうも、日本人の手による衣類は全体の1%くらいしかなさそうです。
先ほどの数字から、国内で販売される衣類が39.2186億枚として、人口1.25億人で割っていみます。国民1人が1年間に購入する衣類は約31点となります。
結構、多いような気がしますが、31点のうちに、国内工場で日本人が製作したものが入っている可能性はかなり低いわけです。
技能実習生の労働環境について懸念があるという報道もたくさんあります。しかし、日本の縫製工場で働いた実習生の多くが母国でも縫製の仕事をしているようです。
母国の工場で指導的な役割を務めたり、自ら縫製業を立ち上げたりしています。縫製業は、極端に言えばミシンを揃えることさえできれば大きな資本が無くても起業できるので、途上国で多くの起業家をつくります。
こうして、日本で学んだ技能を活用してつくられた服が、また日本に輸入されます。
さて、日本で主に日本人が働く縫製業の動向です。今や、非常に稀少になったこれらの縫製業がとっている戦略は主に次の3つです。
1つは、高級品(つまり高額品)の製造です。低コストの海外製品との競争を回避するには、独自のデザインや機能性を有する高級品で勝負するしかありません。
2つは、小ロットでの製造です。極端に言えば、オートクチュールのような1点ものはともかく、プレタポルテ(高級既製服)といった領域の製品は国内縫製事業者でしかつくれません。
3つは、独立した縫製加工業としての技術が持つ存在感(差別化)です。国内事業者であれば、アパレルメーカーのデザインをそのまま製品にするのではなく、顧客ニーズに合わせて改良して縫製するようなこともできます。
2018年に、週刊現代に「今後給与が上がる職業トップ50」という記事がありました。
その1位が縫製工でした。衣類の好みが多様化していくなかで、ミシンを使うことができる人の希少価値は、ますます上がっていくだろうという予測です。
なるほどなぁと思います。