伴走型支援の意味を考える

商工会議所や商工会の仕事では「伴走型支援」という言葉をよく聞きます。

 

伴走型支援を辞書で調べると、「社会復帰や生活再建を目指す人に対して、支援者が一対一で支援を行うこと」と出てきました。ちょっと、違いますね。

会議所などの定義は「販路拡大や事業承継など小規模事業者が直面する経営課題に対し、事業計画の策定や資金調達などを事業者に寄り添って支援する体制」となっています。これでは、従来の支援との違いはよくわかりません。

 

伴走型支援
伴走型支援

小規模事業者に対して、商工会議所や商工会などがおこなう伴走型支援とは、本来はこの説明とは少し異なるはずです。

経営課題を解決するための計画策定はともかく、資金調達を寄り添って支援するという意味は、既に資金繰りに窮している印象があります。

 

つまり、伴走型という場合は、小規模事業者が経営課題に直面してから支援を始めるのでは遅いのです。

事業者が事業をはじめたとき、新しいチャレンジをおこなうとき、また順調に経営を進めているときに、支援者は課題解決のためではなく、支援そのものを目的として伴走します。

この時点で、しっかりした関係性を構築しておくことが、伴走型支援の要諦です。

 

また、ことさら伴走というのは、主体性を持って走るのは、あくまでの事業者であるということです。支援者には伴走することはできますが、物理的に引っ張ったり後押ししたりすることはできません。

 

さらに、事業者と伴走者の関係は1対1とは限りません。事業者の集団に支援者の集団が伴走するようなケースもたくさんあります。そのときには、事業者どおしの無理な競争は一旦やめて、支援者どおしも縄張り意識などは忘れることです。

 

最後に、事業者は主体性を持って走るわけですが、スポーツ競技と違って走るコースが決められているわけではありません。極論すれば、よほど非常識なところでなければ、どこを走ってもいいわけです。支援者は、事業者が自由奔放に走り回ることを邪魔してはいけません。どこまでも、伴走していくという姿勢が重要です。