ユン・ソクヨル元検事総長の失敗

「週に120時間でもがむしゃらに働いて、後でまとめて休めるようにすべきだ」という発言。

 

経済誌のインタビューで、労働時間規制を厳格化した文在寅政権を批判する意図から述べたそうですが、いかに何でも拙かったですね。当たり前ですが、労働団体などから多くの反発が集まって、来春の韓国大統領選の最有力候補から一発退場となりそうです。

 

韓国の尹元刑事総長
韓国の尹元刑事総長

韓国の労働時間規制はよく知らないのですが、週120時間の労働は先進国ではどこでもダメです。

土曜も日曜もなく、1日に17時間09分も働くわけですから、物理的にもほぼ不可能です。尹元総長側は、実際にやろうと言っているのではないことは、ムリなことを言っているので当然だという苦しい言い訳をしているようですが、ちょっと通りそうもないですね。

 

トップに近い人が、長時間労働の強制あるいは容認に類する発言をしたり、そういう考えを持っていることを表明するのは、その組織で働く人に重大なリスクを与えます。私の印象では、韓国の働く人は日本人と比べても長時間働くことを厭わないように思います。

 

実際、韓国の関係先で夜まで作業をしていて、21時を過ぎたので「そろそろ」かと思っていたら、先方の会社の人がニコニコしながら夜食にフライドチキンを持ってきてくれたことがありました。結局、日付が変わる頃まで一緒に作業をした後に、ちょっと飲もうかとまでなりました。なんというタフさかと驚愕です。それでも、翌朝8時に作業を始めました。まぁ、25年くらい昔のことです。

 

さて、現在の先進国では、政治家や経営者は長時間労働を強要することはもちろん、容認してもいけません。さらに言えば、従業員に自己犠牲を強いてはいけません。

 

電通の度重なる過労死事件は、まさに会社の体質によるものです。この会社は、かなり懲りないので、悪名高い「電通 鬼の十則」は2016年版の手帳まで記載を続けていました。

 

特に5が酷いですね。ブラックのなかでも筋金入りのブラックでした。現在は、体質改善が成されたものと信じたいですね。

 

電通と双璧のブラック企業と言えばワタミでしたが、今日現在でも次のような経営理念を掲げています。

少し見直したほうがいいように思います。

基本的に、社員に自己犠牲を強いるような社訓とは、経営幹部の貪欲の表れの裏返しと考えて間違いありません。もし、この会社の経営者が、自分は社訓7ヶ条を遵守していると胸を張っているなら、たぶんその人は少しおかしいです。