LEDが普及したことで、省エネ相談で照明がテーマになることが一旦は減っていました。
白熱灯は特別な場合以外に使われることがなくなりました。蛍光灯や水銀灯もどんどん減ってきています。LED照明は、一度替えれば、蛍光灯などと比べて1/4くらいのエネルギーしか消費しないうえに、切れることもないので経済的です。また、LED照明には思いがけない利点ががいくつかあります。
屋外で使用した場合に、もっともよく聞くのは「虫が来ない」というものです。
LED照明は昆虫が好む紫外線領域の光をほとんど出さないので、虫がよってくることがありません。食品関係を取り扱う事業者さんでは、この特徴がとても好まれます。
また、LED灯の灯は直進するので、どこを明るく照らすかを選ぶことができます。極端な話では、外部から不審者が侵入する可能性がある場所を選択的に明るくして、それ以外の場所はそれなりに、といったことを1本の屋外灯でおこなうこともできます。
ところで、省エネ補助金を申請するときに、蛍光灯を置き換える一般照明用のLEDはRa値80以上、水銀灯を置き換える高天井用のLEDはRa値70以上が条件になっているのに気づいた方も多いと思います。
一般に、LED照明はRa値を高いほど、価格が高くなり、省エネ性能が低下します。それでも規制があるのは、訳があります。Ra値は平均演色指数というもので100に近いほど太陽光に近い明かりというわけです。照明の基本的な性能としては、自然光と同じ色合いでモノが見えるということが重要なわけです。
尚、環境関連の試験室ではRa値90以上の照明器具を使うようにしているところもあります。
LED照明は、このRa値というか演色性を自由に変えることができます。つまり、照明の波長を設計することで商品をよく見せることが可能です。
割とよく使われるが、肉や魚などの食材を美味しく見せるような照明です。具体的にどういう設計になっているかは知りませんが、見違えるほど美味しそうになります。
女性の肌を美しく見せる照明も、いくつかの会社から発売されており、人気のようです。ルーブル美術館では、名画「モナ・リザ」を美しく見せるために特別な照明を導入しているそうです。
例えば、衣服の布地なども照明を変えることで美しく見せることが可能です。ただ、照明の環境を変えて商品を魅力的に見せるのは詐欺的行為だという指摘もあります。
しかし、ケースバイケースです。衣服などは用途によっては、自然光に下で着用する機会の無いものもあります。人工的な照明の下で使用されることが多いなら、その照明環境で美しく見えるものが好ましいとも思います。
まぁ、詐欺師扱いされても困るので、折衷案としては、自然光に近いベース照明に、商品を映えさせるスポット照明の組み合わせということでしょう。照明の働きにも気を配って、売れるお店づくりをすることは大事なことです。