「第二創業」が地方発展のキーワードになる

起業・創業を支援するいろいろな施策がありますが、なかなか成功は難しいのです。

 

よく「ゼロからのスタート」と語る人がいますが、新規創業は「マイナスからのスタート」です。創業には資金が必要な場合が多いですかが、創業資金を公庫で借りた時点ですでにスタート地点は後ろに下がります。100m競争で10m後ろからスタートするようなものです。よほどの実力と戦略と覚悟がなければ1位でゴールできません。

 

五輪予選男子100m多田選手が1位(2021/06/25)
五輪予選男子100m多田選手が1位(2021/06/25)

「マイナスからのスタート」でも1位になる戦略にはいろいろあるのですが、それは別の機会に送ります。

 

一方で、100m競争のスタートを他の選手より10m前から、ときには20m・50m・80mも前からすることができれば1位になる確率は高くなります。「第二創業」は、スタート時点で大いに有利です。

 

「第二創業」とは、既存企業が新分野や新市場に挑戦して、業種や業態を変えるような、あたかも新しい企業が創業したような変化をすることです。(今、公募中の再構築補助金は、実はこの「第二創業」を促しているのですが、正しく理解されていないです。)

 

「第二創業」は、創業者から二世経営者への代替わりなど経営者の承継によっておこなわれると誤解されています。(国の第二創業補助金などでは、実際にそう定義している。)

しかし、当然ながら創業者や現在の経営者が自ら第二創業することもあります。

 

ユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井社長などは、「第二創業」「第三創業」を繰り返しています。創業者のお父さんの時代はメンズビジネスのお店だったのですが、カジュアル路線で第二創業した後、自ら事業構造の変革を繰り返しました。現在のユニクロは老若男女を問わないカジュアルファッションの世界的ブランドに成長しただけでなく、原料開発から製造までのグローバルネットワークを構築して、最先端のIT技術をフル活用した事業を展開しています。

 

最も成功確率の高い「第二創業」は、創業者と二世経営者がタッグを組んで実行する場合だと思います。事業承継時に二世経営者が新規事業に取り組んで失敗した事例はたくさんあります。最近では大塚家具の事例などは参考になります。二世経営者が成功するには、自社の強み・弱み、特性をしっかり理解していることが不可欠ですが、優秀な二世であっても、現実にはなかなか難しいようです。

 

一方で、一世経営者の時間軸では積極的な行動力を発揮できなくなるのも現実です。

新事業に取組み「第二創業」を果たすには、会社と共に歩み、自社の全てを知っているベテラン経営者と、ITなど新技術に対して柔軟な思考を持ち、積極的な行動力で他社との連携もとれる若い経営者が共に経営をおこなうことが望ましいです。

 

その際の成功のカギは、ものづくり企業に限らず、小売りやサービス企業であっても、広い範囲で言えば「技術力」です。