録画してあったブラタモリをみていたら、東京駅の屋根に宮城県雄勝産の天然スレートが使われていると紹介されていました。同じく、旧山口県議事堂の屋根にも使われています。
現在、スレートと言えばセメントに繊維を混ぜて強度を増した人工スレートが大半です。しかし、本来は薄く剥離する性質のある粘板岩のことをスレートといいます。重要な建物のスレート瓦や塀などに使用されていました。硯や砥石にも使われ、山口県の赤間硯も岩石の種類では粘板岩です。天然スレートとして、最も優れているのが、宮城県雄勝石だそうです。
Google Map で山口県庁をみてみます。
現在の県庁舎と議事堂棟の前方に旧庁舎と旧議事堂が並んで建っています。この2棟は、今でも審議会などのときには使われており、結構な趣きがあります。
大正2年に起工して大正5年に完成した2棟は、国の重要文化財に指定されており、県政資料館としても公開されています。
大正5年の完成当時、旧山口県庁舎と山口県議事堂の屋根は全て宮城県雄勝産の天然スレートで葺かれていました。東京駅の竣工は大正3年ですから、ほぼ同時期です。
東京駅は東京大空襲で焼失した3階建ての修復で、建築当時と同じように天然スレートを使ったということです。これに先駆けたのが、旧山口県議事堂です。
実は、旧山口県庁舎と山口県議事堂の屋根は、戦後(昭和26年)の修理で天然スレートから銅滓瓦(どうしかわら)に葺き替えられました。このうち、旧山口県議事堂の屋根は、平成12年から13年にかけての復原工事によって、再び天然スレートに吹き替えられています。
この復原の経緯は、山口県庁のwebサイトに詳しく掲載されています。
「この建物は、私たちに多様で豊かな“まなざし”を誘いつづけてくれる」
☞ 山口県旧県会議事堂復原 (山口県庁webサイト 2014/08/05)
旧山口県庁舎のほうは、現在も銅滓瓦のままですが、この銅滓瓦も今となっては貴重です。終戦後の物資不足のときに、銅の精錬の過程で出た鉱滓を固めて作った瓦です。廃棄物を利用したエコなものです。
香川県の直島精錬所などで昭和26年頃からの数年間だけ製造されていただけのようで、今でも残っているのは数少ないそうです。
いろいろ面白い 山口県でブラブラしてはいかがでしょう。
おいでませ!山口へ