珍しく、補助金の告知をしてみようと思います。今年度は、お馴染みのエネ合・省エネ補助金が模様替えをします。
令和3年度予算額は325億円です。昨年はZEB・ZEHという建物の省エネと合算で459.5億円となっていました。総額の459.5億円は変わらず、工場・事業場向けを分けて325億円と明示しています。建物関係に少し手厚くすることになるという印象ですが、実はこの3年ほどは省エネ補助金の申請が少なくなっているという事情もあります。
令和2年度の実績は、執行団体のwebサイトによると以下のようになっています。
採択率が約80%で、採択金額の合計が122.8億円です。
その前年の平成31年度の採択率はもっと高くて約90%で採択金額が110.5億円でした。
それ以前の採択率は概ね50%前後でしたから、省エネ投資の勢いが削がれてきています。大きな要因は、省エネ投資をやりやすかった照明と空調の更新が一巡したことです。蛍光灯や水銀灯からLED灯への更新はほぼ完了しましたし、改正フロン法の施行もあって空調機の更新もたいていの事業所では終わっています。
つまり、これからは、知恵を使って、手間を掛けるような省エネ投資が必要になっています。
現時点で判明している令和3年度の補助金の概要を説明します。
【まだ公募前なので、確定情報ではありません。】
<参考>
☞ 経産省webサイト 「令和3年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金「先進設備・システム」の登録に向けた事前告知」
☞ 経産省Webサイト 「令和3年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」に係る補助事業者(執行団体)の公募について」
補助金は、以下の4類型に分けられます。
(A)先進事業 ・・ 事前に登録された「先進設備」を導入する場合です。
条件は、1)事業所全体で30%以上の省エネ、2)原油換算1000kL以上の省エネ、3)エネルギー原単位15%以上の改善 のいずれかを満たすことです。
中小企業は補助率2/3です。補助の上限額は15億円/年度と巨額です。中小企業が注意しないといけないのは下限額が100万円/年度という点です。
(B)オーダーメイド型事業 ・・ 個別設計が必要な場合です。
条件は、1)事業所全体で10%以上の省エネ、2)原油換算700kL以上の省エネ、3)エネルギー原単位7%以上の改善 のいずれかを満たすことです。
補助率は投資回収期間7年以上の場合で中小企業は補助率1/2(投資回収が5年以上7年未満の場合は1/3)です。同様に、補助の上限額は15億円/年度で下限額は100万円/年度です。
特注であれば、設備の制限はありません。
(C)指定設備導入事業 ・・ 従来機器と比較して省エネになる設備に更新する場合です。但し、「指定設備」に限ります。
補助額は、「掛かり増し補助」となります。初めて登場する用語ですが、市場に普及している標準的な設備の導入費用と、支援対象となる高い省エネ性能の設備導入費用の差額を補助するという意味です。
考えようによっては、とても有利な補助金です。更新しようと思っていた機器を、同じ費用負担で省エネ型に替えるわけですから、その後のエネルギーコスト削減分が丸儲けとなります。
補助の上限額は1億円/年度、下限額は30万円/年度です。
「指定設備」は(ユーティリティ設備)と(生産設備)に分かれます。
(ユーティリティ設備)は、空調・HP・給湯機・ボイラ・変圧器・コージェネ・工業炉・冷凍冷蔵設備 等です。照明は入りません。
(生産設備)は、射出成型機、レーザー加工機、プレス機、印刷機械 等です。
(D)エネマネ事業 ・・ エネルギーマネジメントを導入する場合です。
条件は、指定されるEMS機器を導入して、その制御効果と運用改善で2%以上の省エネを達成することです。
中小企業は補助率1/2(機器の費用の1/2で運用改善の費用は含まれません)で、上限額1億円/年度、下限額30万円/年度です。