年度末、会計年度は国によって違う

今日で令和2年度が終わります。コロナ騒動に翻弄された1年でした。

 

過去形で書きましたが、理論的に、このコロナ騒動は終わることはありません。この状態のなかで事業の再構築を図る必要があります。「事業再構築補助金」の公募がはじまっています。”思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。”がキャッチフレーズです。さて、年度末を迎えて、会計年度のお話。

 

松方正義
松方正義

明治になる前は、7世紀からずっと日本(朝廷や幕府、各藩など)の会計年度は、暦と同じで1月に始まり12月に終わるでした。

1年を基準にして税金を徴収し、予算を立てて実行するというのは、江戸時代以前でも基本的に変わりはありません。但し、これは太陰暦です。

 

明治2年に会計年度が10月はじまり9月まで(但し、まだ太陰暦)に変更になります。当時は、税金は米で納められていたので新米の収穫時期に合わせたという説明ですが、変更した理由の確かなことはわかりません。

 

その後、明治6年に太陽暦に以降されたことを機会にして、会計年度が1月はじまり12月終わりに戻ります。シンプルです。

 

ところが、明治8年からは地租改正法が制定されて、7月はじまり6月終わりに変更されます。そして、明治19年に現在のような4月はじまり3月終わりに変わります。会計法が成立して、会計年度の4月はじまりが法的に確定するのは、明治22年のことです。

 

会計年度を4月はじまりに変更したのは、ときの大蔵卿、松方正義の発案だったそうです。当時の日本は軍事費が増大して財政難でした。

このため、明治17年度の財政赤字を穴埋めするため、明治18年度の酒税を17年度に繰り入れするという荒業がおこなわれました。この状況を改善するため、明治18年度を3ヵ月短縮して7月から3月の9か月で終わらせて、明治19年度を4月始まりにしたそうです。

結構、無茶苦茶なはなしですが、それから135年間、日本の会計年度は一度も変わっていません。

 

つまり、会計年度はその国の歴史とか事情によってそれぞれ勝手に決めてよいわけです。

 

アメリカは10月はじまりですが、僅か45年前の1976年に「予算改革法」によって、それまでの7月はじまりから変更されています。

その他の国では、イギリスは日本と同じく4月はじまりです。カナダ・インド・南アフリカなど英連邦の国はイギリスと同じく4月はじまりの国が多くなっています。但し、南半球のオーストラリア・ニュージーランドは7月はじまりです。

 

世界全体をみると、わかりやすく暦通り1月はじまりの会計年度の国が多くなっています。

ドイツ・フランス・イタリア・オランダ・ベルギー・スペインなど欧州の国、中国・ロシア・ブラジル、韓国も1月はじまりです。まぁ、これが自然なことです。