栃木県足利市の山火事は延焼が続いていて、発生から5日目となりました。
足利市の市街地にも近い里山での火事です。5日間でおよそ100haが焼失しています。日本は森林の多い国ですが、山火事は少なくて、100haを超えるような火事は平成29年5月の岩手県釜石市の尾崎白浜林野火災(焼失面積413ha)以来のことです。
昨年発生したアメリカ・カリフォルニア州の山火事では、93万haが焼失しました。これは、山口県の面積の1.5倍です。
また、オーストラリアの2019年~2020年シーズンの山火事では、970万haが焼失しています。これは、北海道の面積のおよそ1.2倍です。
世界で、大規模な山火事の発生が続いているのは大きな問題です。大陸の山火事は、雷など自然の原因で発火に至ることが多く、広大な国土で起ることから鎮火までに時間もかかり、広い範囲が焼失します。
一方で、日本では山火事は年々減ってきています。林野庁の統計では、2015年~2019年の5年間では、1年間に平均して山火事が1234件発生して、661haが焼失しています。
日本の山火事は、そのほとんどが人為的な原因でおこっています。今回の足利市の山火事はハイカーの火の不始末(携帯コンロか、タバコか)と言われています。
また、一般的には、たき火や火入れなどから、火災に至るケースが多くなっています。
山火事は2月・3月をピークにして、冬から春に多く発生します。乾燥していて、風が強いことが一つの要因です。今回の足利市でも、湿度20%以下の日が多く、強風も続いています。
もう一つの要因が、落葉樹の落ち葉です。
足利市の山火事ニュース映像を見てわかるのは、実は山火事であまり樹木は燃え落ちていないのです。里山のクヌギやコナラなどの樹木は、本来燃えにくいことが、よくわかります。
何となく、木=燃えやすいと勘違いしますが、生の木は種類によっては燃えにくく、防火の役に立ちます。寺や神社などにイチョウが植えられているのは、火災から建築物を守るためのものです。他に、カシ、シイ、キリ、サンゴジュなどが防火に役に立ちます。これらの樹木は火伏の木と呼ばれます。
但し、落葉樹が葉を落としてしまえば防火の効果は弱まります。寺社では落ち葉は掃除して除去されますが、里山では乾いてしまった落ち葉がじわじわと燃えることになり、なかなか鎮火しないことになります。
先ずは、山火事を発生させないこと。火の始末をきちんとすることが大事です。