毎年赤字が続いているから、製造原価を10%下げて黒字化するぞ!と目標を立てます。
売上高が100百万円で販売管理費が25百万円とします。製造原価が80百万円なら、5百万円の赤字です。製造原価を10%削減できれば、原価72百万円となって3百万円の黒字になります。しかし、実際にはコスト削減に成功する会社はほとんどありません。
ものづくりの会社でコストダウン(原価低減)をするというのは、当然のことなのでキャッチフレーズとしては適当です。
社長や工場長が、今季の目標は10%のコストダウンだと『Challenge!!CD10』なんてバッジをみんがつけている、なんて光景もよくみます。
そこで、コストダウン委員会をつくって、管理職や従業員からコストダウン提案を募ります。審査をして、よさそうな提案は実施して、効果を計るとそれぞれの改善で、結構なコストダウンが達成できそうです。これは、うまくいくぞと頑張ってみますが、1年やっても2年やっても赤字が解消されません。ということもよくあります。
この原因は、コストの現状把握ができていないことにあります。製品をつくるコストは、いったいいくらなのかが分かっていないのでは、どこに重点を置いていいのかがわかりません。中小企業でも、単一の製品だけをつくっている会社は少ないので、それぞれの製品について大まかにコスト構成を知っておくことも大事です。
コストダウンの改善には、ある製品をつくるときには改善効果が出るが、他の製品では効果が無いとかマイナスになるとかのものもあります。
コストダウンの成功には主要な製品のコストを簡単に把握しておくことが肝心です。ここで、大事なのは「簡単に」です。決算書をつくるのではないので、経営者と製造現場の人が大雑把に知っていれば構いません。
ある製品を1単位つくるのに、材料をいくら使う。エネルギーをいくら使う。人が何時間かかる。機械を何時間動かす。といったことです。
そして、これに何かの基準(生産量とか生産金額とか)で間接費や販売管理費を配賦すれば、コストの把握は完璧です。
やってみれば「簡単」なので、最初の一歩で実行してください。