新耐震といっても安心はできない

阪神淡路大震災(1995.01.17)から、ちょうど26年になりました。

 

阪神淡路は、亡くなった方が6400人にもなる大災害でした。震源に近い日本有数の大都市・神戸市を中心として大きな被害がありました。東日本大震災が起こるまでは、第二次大戦後に世界で起った最も大きな災害でした。

 

阪神淡路大震災(1995.01.17)
阪神淡路大震災(1995.01.17)

この地震での被害(特に死に至る被害)の特徴は、家屋や建物の倒壊による圧死が多かったということです。

 

死者6400人のうちで、地震による直接死は約5500人です。約900人が避難途中や避難後に亡くなった、災害関連死です。

 

直接死の5500人のうち、8割の4400人が建物の倒壊によって下敷きとなり、窒息死あるいは圧死した人です。

さらに、この4400人のうち9割以上(4000人ほど)は、ほぼ即死だったということです。

4000人の人がほぼ同時に亡くなるようなことは、広島長崎以外では例がありません。

 

ほぼ即死だったということは、地震が起こってから、人が何かができるということは無いわけです。発災前の状況次第で生死が決まります。

具体的には、建物が全く倒壊しないか、仮に倒壊するにしろ内部の人を守られるような倒壊の仕方であるかです。きちんとした設計と施工をした建物なのかということが重要です。

 

建物の耐震性能については、昭和56年(1981年)の建築基準法の改定がありました。一般的には1981年より後に建築確認を取った建物は、新耐震基準に適合していると考えられ、地震には安全と思われています。

 

実際に、阪神淡路でも新耐震の建物の倒壊率は低かったようです。しかし、数字を見るとちょっと印象が異なります。

新耐震の建物の倒壊率(大破+全壊)は約12%。一方で、旧耐震の倒壊率は約19%でした。その差7%は十分に有意な差であり、新耐震のほうが安全なのは確かです。

しかし、新耐震だから絶対に安全とは言い切れないようなデータです。

まぁ、そもそも、どんなに耐震性が高くても、地盤そのものが動くわけですから、建物だけでは倒壊を免れることはできません。

 

では、どうすればいいのか。もちろん、建物の耐震性を高めるということができれば実行するべきです。しかし、現在住んでいる木造住宅の耐震補強工事を実施するなんてのは、コストだけでなく大変なことです。

 

結局のところできることは限られます。建物の1階で就寝していれば、2階に寝室を変える(窒息死も圧死も1階のほうがリスクが高い)くらいでしょうか。

それでも、この機会に、今住んでいる建物が地震で倒壊したらどうなるだろうか?と考えるだけでも少しは効果があります。