高圧配管のピンホール事故を見つけるのは、道理を知っている熟練した作業者。
必要があって「高圧ガス事故事例データベース」を検索していました。☞ 高圧ガス保安協会「事故事例データベース」 配管に亀裂や割れが生じて、大量のガスが放出すれば誰でも気がつきます。しかし、小さなピンホールが空いて、僅かずつ漏洩するような事故は、熟練した作業者やスタッフがしっかり点検しないと気づきにくいものです。
高圧配管のピンホールは、7割が腐食・2割が疲労・1割が摩耗が原因と言われます。
腐食が原因であることが多く、疲労や摩耗が原因であることが少ない。素人だと、勘違いしそうですが、これが重要な特徴です。
腐食は、外面腐食と内面腐食に分けられます。
カバーや保温材の下に水が入って、配管の外側から腐食が進行するという例があります。製造担当者としては、こんな腐食を見逃すようでは失格です。
腐食性の流体によって配管内部から腐食が進行することもあります。これは、外からの目視点検では直接見ることができませんから、やっかいです。それでも、ピンホールが発生しやすい箇所に、あらかじめ目をつけておいて、早期発見する作業者もいます。
もちろん、設備担当者としては、定期点検で腐食の進行を測定して、ピンホールが空く前に交換補修をすることが大切です。最近は、工場での定期点検を実施する間隔が長く空くようになってきています。一方で、点検用の機器装置は優秀になっていますから、上手く使って予防保全を進めることだと思います。
腐食によるトラブルを防止するには、設計と施工の要素が大きいことは言うまでもありません。流体や使用条件に最適な材質・装置・形状などを吟味して、そもそものリスクを評価しておくことが大事です。
それにしてもピンホールというものは本当に厄介です。ごく小さな穴でも、長い時間を掛けると大量の流体を放出してしまいます。外に出た物質が危険を招くことは少ないのですが、本来中になければならないのもが無いことの危険は計り知れないことがあります。
ちょっとした異常にも気づくような、真剣に仕事に取り組む熟練した作業者やスタッフを確保しておくことが会社の持続可能性を高めます。
もちろん、テレワークやリモートワークはできません。テレビで「緊急事態なのに通勤する人がいる」などと、馬鹿な批判をしています。部外者はともかく、本社から工場へ、わけもわからず指示を出すようなことがおこらないようにして欲しいものです。