太陽光発電と植林、どっちが地球に優しいか?

カーボンニュートラルの実現のためには、太陽光発電は重要なアイテムではあります。

 

しかし、大規模な太陽光発電には課題もあります。自然の景観を損なうことは大きな課題の一つであり、地形を変えることによる災害リスクや光害問題、更には耐用年数が超過した後のパネルの廃棄問題などもあります。それでは、大規模な太陽光発電設備を計画していたところに木を植えて林にしてみたらどうでしょうか?計算してみます。

 

大規模太陽光発電
大規模太陽光発電

例として、1ha(=10,000㎡)の平坦な土地があったとして考えてみます。

 

太陽光発電事業をおこなうとします。

太陽光発電の場合、1haで概ね1MW(メガワット)の設備容量になります。メガソーラーと呼ばれる大規模施設です。

 

1MW(=1,000kW)の設備容量で、年間発電量は1,000MWhくらいです。

投資金額を1億5000万円に抑えられれば、14円/kWhで販売したとすれば年間収益が1,400万円なので、11年で元が取れて、残り9年は丸儲けという計算です。

 

ところで、1年は8,760時間なので、発電量は8,760MWhになりそうですがそうはいきません。太陽光発電は夜は発電しませんし、昼間でも朝や夕方は発電量が減ります。更に、曇りや雨の日も発電量が落ちます。

 

1,000MWhの電力を電力会社から購入した場合、二酸化炭素排出係数を0.4t-CO2/MWhとすれば、二酸化炭素排出量は年間で約400トンになります。太陽光発電そのものは二酸化炭素を排出しないので、400トン分の二酸化炭素排出削減に貢献します。

 

しかし、太陽光発電設備を製造したり設置する段階での二酸化炭素排出量が1,000トンくらいありますから、この分を控除する必要があります。また、設備を廃棄するときにもエネルギーを使いますから、その分(仮に、200トンとします)も控除しましょう。

25年間、太陽光発電設備を使った場合、25×400-1,200=8,800トンの二酸化炭素排出量削減になる計算です。25で割って、1年間当たりでは352トン。

 

それでは、この1haに木を植えた場合を考えます。スギ、ポプラ、ニレなどの立木を500本植えたとします。成木となる50年間で、1本の木が0.5トンの二酸化炭素を吸収すると仮定すれば、500×0.5=250トンの二酸化炭素を吸収することになります。50で割って、1年間当たりでは5トン。

 

太陽光発電の二酸化炭素排出量の抑制効果:8,800トン(352トン/年)と、植林したときの二酸化炭素吸収量:250トン(5トン/年)を比較すれば、圧倒的に太陽光発電が優位です。

但し、抑制効果と吸収量を同じにみてよいのか? 鉱物資源の利用や廃棄物の発生、災害への備えなど、考えるべきところはたくさんあります。