中公新書に「スキマの植物図鑑」という本があります。☞ スキマの植物図鑑/特設ページ
街を歩けば、アスファルトの割れ目、電柱の根元、ブロック塀の穴、石垣など、あちこちのスキマから芽生え、花開いている植物が見つかる。一見、窮屈で居心地の悪い場所に思えるが、こうしたスキマはじつは植物たちの「楽園」なのだ・・・。
少し前に「ド根性大根」というのが、人気になったことがあります。アスファルトの割れ目で、育った大根のことです。
植物というものは、何故だかスキマに生えるものです。
人の目から見ると、苦しそう、窮屈そう、寂しそう、しんどそう、頑張っている、耐えている、偉いなぁ、となります。
しかし、植物にとっては、このスキマでこそ、伸び伸びと、ゆったりと、楽しく、幸せを謳歌できるのだそうです。
昨日のブログの続きなのですが、植物は光合成をして成長するので、光合成に都合の良い場所が住みやすいということになります。すなわち、仲間である他の植物に邪魔されずに太陽の光を浴びられるところ、さらに豊富な水が利用できるところです。
つまり、コンクリートやアスファルトなどで囲まれたスキマこそが、植物にととっての”理想郷”というわけです。
スキマの植物は、その小さなスキマに種が偶然に到達するという、希少な幸運に恵まれたのです。さらに、スキマは安定しています。土のように、雨で流される心配もありませんから、安心安全なのです。
企業の場合も、こういう居心地の良いスキマを狙うことが幸せへの道であることは確かです。
但し、スキマには欠点もあります。その個体は確かにとても幸せなのですが、子孫を残しにくいということです。スキマの植物がつけた種は、傍のコンクリートの上に落ちては芽を出しません。どこか、遠くの土の上まで飛んで行った種だけが芽を出します。
植物に限らず、生物の幸せが、その種の繁栄であり、多くの子孫を残すことだとすれば、スキマの植物は本当には幸福ではないのかも知れません。
中小企業の場合も、スキマで成功したとしても、次のスキマに着地する可能性はあまりありません。何とか、未知の大地で芽が出せるような、優れた種をつくることができるかが、幸福であるか否かの分かれ目ですね。