人の味覚は当てになりません。一方で視覚はかなり正確です。
ある食品製造業の会社の方です。人気の商品があって、よく売れていました。商品アンケートの評価も好評です。そこで、感謝セールの特別なパッケージをつくって、記念商品として販売しました。中身は同じで、違うのはパッケージだけです。ところが、お客さんの評価は二分です。いつもと味が違って美味しい、いやいつもと比べて拙くなったと・・・。
人の味覚というものが当てにならないのは、テレビの格付けチェック番組でも実証済みです。グルメを気取っていても、味覚は視覚ほどには明確ではないようです。
有名な話としては、ワインの本場ボルドーにあるプロのソムリエを養成する学校でテストをした例があります。既に、一定の経験がある学生に、白ワインに赤く着色したものをテイスティングさせて、味を表現してもらったところ、白ワインとわかる言葉を含んだ解説をしたものはいなかったそうです。
日本でも、オレンジジュースを茶色に着色したものを飲んでもらうと、6割の人がコーラや紅茶を飲んだと錯覚したという研究があります。
人間の五感による情報判断の割合
視覚・・・・・87%
聴覚・・・・・7%
触覚・・・・・3%
嗅覚・・・・・2%
味覚・・・・・1%
視覚と味覚の関係を少し進めると、パッケージの違いで味が変わるということが確かにあります。家庭でも実験できるので、試してみるといいかも知れません。
例えば、同じお茶を爽健美茶の容器に入れたものと、綾鷹の容器に入れたものを準備して誰かに飲んでもらいます。爽健美茶の容器に入れたものは甘く感じ、綾鷹の容器に入れたお茶は渋みを感じると思います。
話が変わって、カンロ飴です。カンロ飴はカンロ株式会社が製造しています。今は本社が東京にありますが、元は山口県光市にある、宮本製菓という会社です。
このカンロ飴は、しょうゆ味のしょっぱい飴ですが、1954年(昭和29年)の発売開始から66年という超ロングセラー商品です。山口県ではお馴染み商品です。
・・ただ、山口県以外の人に、どれくらいのお馴染み度があるのだろうか?
このカンロ飴のパッケージは、何度かマイナーチェンジをされていますが、基本的にオレンジ色にKANROと英文字ロゴを白抜きする形が同じです。
少し考えると、カンロ飴の本来の味や性格とパッケージはマッチしているとは言えません。しかし、カンロ飴のオレンジ色を見ると、何故だかあのしょっぱい飴の味覚が喚起されます。
ちょっと不思議です。