新型コロナとBCP(事業継続計画)

多くの組織はBCP(事業継続計画)を策定していました。新型感染症への備えも含まれていました。ところが、BCPがきちんと機能した組織は少なかったように思います。

 

多くの感染症BCPが機能不全に至った理由は、感染症リスクそのものの想定にあった大きな違いです。従来の感染症BCPが想定していた感染症は、新型インフルエンザウイルスによるものです。新型コロナウイルスとウイルスの種類は違っていても、感染症全体としては類似のものと言っても差し支えないはずでした。しかし、実態が全く違いました。

 

飛沫感染
飛沫感染

新型インフルエンザの感染想定は以下のようなものでした。

 

流行する期間は8週間と想定される。

罹患率は全人口の25%(3000万人)。

医療機関受診患者数が約1,300万人~2,500万人。

1日当たりの最大入院患者数は10~40万人。

死亡者数は約17~64万人。

自らが有症状に加えて、家族の看護などのために国民の40%が仕事できなくなる。

この前提条件を基にして、各企業や自治体などはBCPを策定していたわけです。

 

一方の新型コロナ感染症です。

罹患率は、仮にPCR検査陽性者を感染者とするなら、全人口の0.1%(15万人)。

医療機関受診者は、仮にPCR検査人数とすれば350万人。

1日当たりの最大入院患者数は重症者470人。

死亡者は2,118人。但し、PCR陽性者の死亡であって、新型コロナウイルスが死因とは限らない。したがって、致命率は不明。

これで、すでに10か月(45週間)が経過した。

 

日本において、新型コロナウイルスは新型インフルエンザの想定より、5倍の期間を掛けながら、1/100の規模の健康被害を与えました。一方で経済損失は40兆円を超えて50兆円に迫ったいます。この損失額は、新型インフルエンザで想定された17~80兆円とほぼ同じです。

 

一体、どうしてこうなったのか?冷静に振り返るべきときが来ていると思います。

 

そろそろ、よくある流行り風邪の一種だと認めてはと思います。これまでは、ウイルスの特定に至らなかったので、新型感染症に指定されなかっただけのことでしょう。

それにしても、中国が感染初期に、極めて短い時間で、なぜウイルスの同定に成功することができたのか?という大きな謎に答えてくれる専門家はいませんか?