コロナ騒動では、いろいろユニークなキャラクターが登場します。コロナの嬢王の相方を務めることの多かった、某テレビ局の自称平社員コメンテーター氏です。
テレビを見ていないのでどんな顔で話していたかは不明です。クルマでたまたまテレビの音声を聞いていました。ニュージーランドのコロナ封じ込め対策を、無条件に礼賛して、日本も同じようにするべきだと口角泡を飛ばす勢いで語っていました。長期間の徹底的なロックダウンでコロナを封じ込めたのだから、日本も同じことをするべきだということのようです。
テレビのコメンテーターという職業は、いかにも思慮深い感じがして、信じる人もいるかも知れず、心配です。
日本もニュージーランドも同じような国と思っている人は少ないとは思いますが、もちろん単純に比較できるはずがありません。
ニュージーランドは、人間より羊の数の方が多い国です。人口は約500万人ですが、羊は3500万頭くらいいるそうです。
面積は27万㎢で、日本列島から北海道を除いたくらいあります。要するに、広大な国土に、日本の1/25の人口しか住んでいない島国です。
ここまで、ニュージーランドの新型コロナ感染者数は1600人、死者は25人です。8か月間に渡って国境(つまり海)を超える人の往来をシャットダウンして、3ヵ月に渡る都市や教育機関の完全なロックダウンをして得たのがこの結果です。
コメンテーター氏が批判する、緩やかな自粛要請しかしていない日本のコロナ関連死者数は、これまでで約2,000人です。
確かに人口100万人当たりでくらべると、ニュージーランドは5人、日本は15人で3倍多いように見えます。しかし、ニュージーランドは日本より平均年齢が10歳も低い若い人の国です。
新型コロナで亡くなるのは高齢者だけですから、高齢者人口(65歳以上)100万人あたりで比べると、ニュージーランドは32人、日本は55人とかなり差が縮まります。
日本でもどこでも、感染症の死者は大都市圏で発出しやすいです。
そこで、試しに同じ島国?の四国とニュージーランドを比較してみます。人口は370万人と500万人で四国が少ないですが、高齢者人口では125万人対比77万人で四国のほうが多いです。面積も四国はニュージーランドの1/15くらいなので、新型コロナの死亡リスクは四国の方がかなり高いはずです。
しかし、コロナ関連死者数は21人と25人で四国の方が少なくなっています。
ちなみに、私の住む山口県を含む中国地方は人口725万人ですが、コロナ関連死は合計19人です。中国地方は、大阪や東京など、感染症の専門家さんが言うところの感染地域と地続きですが、こんなものです。
ことさら日本と比較してニュージーランドを礼賛することに意味は無いと思います。
経済破綻を招くシャットダウンやロックダウンを無理強いすることもないように感じられます。試してみるわけにはいきませんが、ニュージーランドは、ロックダウンしても、していなくても、感染の程度は同じで、死者数はやはり25人だった、という可能性は結構高そうです。