ゲームを扱うカプコンへのサイバーアタックがあったことが明らかになっていますが、インターネットを経由した個人情報漏洩事件が増えています。
日本の上場企業約3700社でみると、2012年から2019年までの8年間に、372社685件の情報漏洩が発生しています。実に、1割の企業で起っているわけです。2019年に限っても、66社86件で漏洩した個人情報は903万人分です。非上場会社からの情報漏洩(あるいは報告されていない情報漏洩)はもっと多いと思われます。
インターネットという仕組みそのものが、ラグビーで言われる「One for All, All for One」という精神から成り立っています。
自らが所有するインフラを、オープンにすることで、世界のみんなへ貢献し、代わりに世界のみんなからの貢献を受け取るという仕組みです。
インターネット上に住む人が、みんな善良な市民であるという前提で組み立てられていました。
情報漏洩事件が増加しているのは、この仕組みに漬け込む悪い人が増えてきたということが言えるわけです。
しかし、逆に言うと、悪い人のことを簡単に信用してコロッと騙されてしまうようなお人好しや、インターネットの仕組みに無頓着なお馬鹿さんが増えてきているとも言えます。
また、これだけの量の個人情報が漏洩しているわけですが、あまり大きな騒動にならない印象があります。個人情報、つまりはプライバシーについての意識があまり高くないとも言えるようです。
プライバシーは Private(私的な) の名詞形ですが、語源はprivo(奪う)だそうです。公から奪い取ったものという意味です。つまり、昔の人は公であったり、主人であったりからの干渉を受けているのが普通でした。そんな干渉のない私生活の権利、秘密を持つ権利を奪い取ったものがプライバシーというわけです。
現代人は、特に日本人は、プライバシーを侵害されることに慣れていません。他人の秘密を覗き見しようと考える人もあまり多くはおりません。個人情報の漏洩についても、便利なサービスを受けられる見返りとして、容認しているイメージがあります。
しかし、アナログの時代と違って、デジタル・インターネットの時代は情報漏洩の規模と拡散の速度が飛躍的に高くなっています。個人情報を提供しないと適切なサービスを受けられないわけですし、秘密の情報ほど価値が高いのも事実です。
悩ましい問題ですが、結局のところは、自己責任ということになるわけです。君子危うきに近寄らず、ということが結論のようです。