考えてみれば不思議なのですが、満月では、必ずうさぎが餅をついています。
月の模様が「餅をつくうさぎ」に見えるのは、世界で日本と韓国だけです。中国でも、うさぎには見えていますが、餅つきではなく、薬を挽いているところだそうです。
ろば、ワニ、ライオン、ヒキガエル、ヒト(男性)、ヒト(女性)、月の模様がどう見えるかは世界で異なります。ただ、変わらないのは地球上からは月の片面しか見えないことです。
考えてみれば、不思議なことです。
月も地球も自転をしているわけです。そして地球の周りを月は回って(公転)います。
それなのに、地球から見る月が、いつも表の顔だけを地球に見せているのは実に不思議です。
月が同じ面を地球に見せることになっているかを、冷静に考えると、月の自転周期と公転周期が全く同じということです。月は地球の周りを27.3日かけて一周するわけですが、月の時点も同じ27.3日なんです。
何故、こうなるかと言えば、月は地球に近いので、地球の引力を影響を強くうけます。同じように、地球も月の引力の影響を強くうけます。例えば、潮汐力です。満潮や干潮が、月の引力の作用なのはご存知の通りです。
次に、月の重心が正確に月の中心に無いということが分かっています。月の重心は、中心からずれています。実は、地球に見えている側(表側)のほうが、少し重いのです。重いから、地球の引力に引かれているということです。
なぜ、月の重さにばらつきがあるのかというと、太古の昔、月にはたくさんの小さな星が衝突して、クレータができました。そのころは、月の内部も温度が高くて、活発な活動をしてたので、深いクレーターの底からは、マグマが上がってきました。上がってきたマグマがクレーターのなかに溜まって平らになった場所が、地球から見て黒っぽく見えているところです。
地下から盛り上がったマグマのほうが、もとの月の表面より重いので、黒っぽく見える面積が広い側が、重いということになります。
というわけで、月の裏側には黒っぽく見えるところが少なく、うさぎも、ろばも、ライオンも何も住んではおりません。
誰しも、容易には見せてくれない裏の顔には興味が湧きます。しかし、あばいてみても、存外、何も無いというのが真実かも知れません。